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学科 社会福祉学科
年度 2015
ゼミ名 山田 裕子
タイトル 息子はなぜ虐待をしてしまうのか。
内容 男性介護者、特に息子介護者による虐待や、殺人の要因を追求した。息子介護者は介護者の中では少数だが、虐待を起こす家族介護者の4割を占める。それは社会の中で男性が期待される役割で説明された。ジェンダーの視点では、日本の伝統的基盤にもとづく規範により、男性の介護者としての行動が縛られ、介護や家事能力が欠落した中で行う介護は危機的状況に陥らざるを得ない事を説明し、また「優越志向、権力志向、所有志向」の3つの心理的傾向が男性性にあるという説からも、困難な介護がさらに困難になることが説明できた。男性介護者の会で、4人にインタビューを実施し、男性介護者の苦悩や喜び、意欲を知り、男性介護者の介護志向と介護努力を知った。
息子介護者による高齢者虐待は、決して当事者だけの問題ではなく、複雑な要因が絡み合っているため、社会全体で介護の在り方について考えることが必要だという結論に至った。
講評 男性介護者、特に息子介護者が、介護を必要とする相手を虐待したり、殺してしまうという傾向はなぜなのだろう、という問題を取り上げて追求しました。息子介護者は介護者の中では少数であるのに、虐待を起こす家族介護者の4割を占めるという調査結果があり、何故なのかを、社会の中で男性が期待される役割や、男性が陥り易い社会的立場で説明しました。ジェンダーの視点では、日本の伝統的基盤にもとづく規範によって、男性の介護者としての行動が縛られていること、介護や家事能力が欠落した中で行わなければならなくなった介護は危機的状況に陥らざるを得ない事が説明され、また「優越志向、権力志向、所有志向」の3つの心理的傾向が男性性にあるという説からも、困難な介護がさらに困難になるとしています。男性介護者の会を訪れて、4人の男性介護者へのインタビューから、男性介護者の苦悩や喜び、意欲にも触れて、ジェンダー論では説明されない、男性介護者の介護志向と介護努力を知ることができてよかったと思いました。
高校時代から介護福祉を学び、すでに何か所もの現場で実習や介護を経験し、多くのエピソードに恵まれ、よい介護とは何か、を常に考え続けていた筆者は、4回生の初めのころには、「重度の認知症をもつ方のコミュニケーション」をテーマに考えていました。筆者の問題意識は広く、深いものであるだけに、まず、卒業研究として取り組む範疇を超えていることを危惧しました。2つ目に、その材料を、これから知らない事を知りに行こう、と言うよりは、これまでの実習や介護経験での経験をもとにして、実践の哲学を求めているように思いました。すでに沢山の事実を知り、洞察を得ているけれど、データや文献、さらにフィールドからもっと多くを知って欲しい、と思いました。「知らない事を知る」を卒論の課題にできたと思います。
キーワード1 高齢者虐待
キーワード2 息子介護者
キーワード3 男性介護者の会
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