詳細
学科 メディア学科
年度 2015
ゼミ名 小黒 純
タイトル 誤報とストーリーメイキング
内容  本論文は、2014年の大誤報であった佐村河内氏の代作問題に着目し、彼の偽りの「ストーリー」が、いかようにメディアを通して形成されたのかを探るものである。先行するBPOの検証よりメディアの対象を広げることで、彼の「ストーリー」の形成過程をあぶり出し、誤報発生の様相を探ることを目的とした。また、各メディアが行った「訂正報道」が充分なものだったのか、その妥当性についても検証した。
 結果、メディアの制作者たちは互いに他の報道や番組での取扱いに影響され、連鎖するように佐村河内氏を取り上げだしたことが明らかになった。その際、テレビでは「現代のベートーベン」、新聞では「全聾」「被爆2世」といった佐村河内氏を表す単語が彼の「ストーリー」の形成を手伝ったことも判明した。
 しかし、本事案はメディアが悪意ある人物によって出し抜かれた形での誤報であり、典型的な誤報の形式を表しているとは言い難い。他の誤報事件についても、個別に検証を深める必要がある。
 テレビ放送においては、BPOが他の事案とは違う姿勢を取ったこと考慮すれば、他の誤報事件との対応の違いを比較研究し、さらに鋭い指摘が可能であろう。
講評  今年度は前年度に続き最大規模の20人を超えるゼミとなった。就職活動が後ろ倒しになったことも影響し、指導は困難を極めた。2~3人を除き、なかなかスイッチが入らなかったからである。全体としての取り組みに遅さは、間違いなく“記録的”であり、気象庁の表現を真似すれば“これまで経験したことのないレベル”だった。
 前年度は11月に行った「卒論合宿」に代わるものとして、12月3日に、大学院博士課程の樋口摩彌さんの協力を得て、終日の「特別ゼミ」を設定した。しかし、姿を現したのはわずか8人。この時点でも半数以上は、スイッチが入っていなかったことになる。
 愛用のオレンジ色のフリクション・ボールを何本消費しただろうか。チェックしては、ScanSnap でスキャンし、添付ファイルとしてメールで返送するという繰り返し。クリスマスイブ前日には、提出を予定していた全員が姿を見せた。
 土壇場の頑張りで帳尻を合わせた例が多々あった。最後の数週間の取り組みで、かなりのレベルに引き上げて、完成させた、ということだ。その馬力には感心させられた。もともと先行していた中には、修士レベルというものもあった。
 1月に入ってからの卒論発表会では、「やっていて楽しかった」「提出締め切りが来てしまったが、もっと続けていたかった」という感想も。指導教員へのリップサービスでなければよいのだが・・・。
 今年度は例年以上に、先行研究のレビューをしっかり行うように指導した。また、研究目的が明確かどうかにも、厳しいハードルを課した。進み方は最も遅くても、出来映えは一定水準に達したものが揃った。
 指導する側にとっても、大いなる学びと発見の機会を得ることになった。このメンバーに出会えたこと、そして一緒に卒論に向き合ったことを感謝している。お疲れさま、そして、ありがとう。
キーワード1 誤報
キーワード2 ドキュメンタリー
キーワード3 テレビ
キーワード4 放送倫理
キーワード5 ストーリーメイキング
戻 る
Copyright (C) Doshisha University All Rights Reserved.