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学科 | メディア学科 |
年度 | 2015 |
ゼミ名 | 池田 謙一 |
タイトル | 日本映画業界における配給会社の認知度調査と東宝株式会社が独り勝ちの現状について |
内容 | この論文では、映画を映画館へ配給する仕事を担う配給会社のイメージ調査と、業界において独り勝ちを続ける東宝株式会社の好調の理由について考察する。議論にあたっては一般の方々(312名)に行ったインターネットリサーチの結果を中心に行う。まず配給会社のイメージについては2つの仮説の検証を行った。1つ目が「映画との接触頻度が高いほど、配給会社に持つイメージは強い」。2つ目は「年齢が高いほど、配給会社に持つイメージは強い」である。しかし検証の結果、映画との「接触頻度」も「年齢」も配給会社に持つイメージと関連性がないことが分かった。ただ検証を進めていくと、Googleをよく利用する若い世代(20.30代)では配給会社の認知度が高いことが分かり、「情報収集能力」の高さが影響していると考えられる。また、調査で得たデータから東宝の独り勝ちを裏付けるデータも多く得られた。東宝は「配給映画のヒット率の高さ」、「興行網の優位性」、「リスクを軽減した経営戦略」で他社を寄せ付けない興行収入の高さを誇っており、今後しばらくはまだ東宝株式会社にとって好循環が続くのではないかと予想される。 |
講評 | 卒論の大半は、今年も共通のインターネット調査を通じて、個々の卒論生が自分の研究仮説を検証する試みを行った。4回生の前半で、自分の研究対象についての仮説を形成していき、後半はその仮説を検証するための実証データを取得し、分析をして論文化したことになる。 本年の研究対象は多様で、卒論生の関心の広がりがよくわかった。メディアとマーケティングやブランド価値、メディアと地域志向・まちづくりや地域振興、多様なSNSの中での交友関係や影響関係・対人的マネジメント、異文化間コミュニケーション、体験イベントのコミュニケーション的価値、音楽プロモーションとファン、テレビニュースのインパクト、就職活動のメディア、育児ネットワーク、災害時のネットワーク、パーソナルデータのリスク認知、自己効力感とメディア発信量、ディズニープリンセスの変遷の研究、といったテーマである。 これら多様な関心について仮説をよく生成するためには、先行研究をよく調べ、どんな概念とどんな概念との間の関係を検討するか、明確に意識し、その洞察の中で、具体的な事象の中で具体的な質問項目によって実証できる仮説を作り出す必要がある。たとえば、音楽ファンのコアファンと呼ばれる人々はSNSによる発信行動が高い、などの仮説はファン層の行動についての洞察がなくてはならない。また、実証データの分析においては、調査したデータを扱うスキルがなくては、きれいな分析をして、明確に仮説の検証を行うことはできない。さらに、データ分析後に、卒業論文として、結果を体系的に検討し、最後に仮説の検証についての明確な結論を得なくてはならない。 全体として、卒論は全員がよくがんばったと言えるが、難点がなくはない。就職活動の時期が広範に延びたことによって卒論に費やす時間が大きく減少し、そのため仮説の生成が生煮えであり、データの検証と対応し切れていない卒論が部分的にあった。また、データの実証部分でも3回生の際に学習した統計的手法をもう少し活用したら、シンプルで説得的な分析ができただろう、という卒論も多く見られた。 今後は、卒論の経験を元に、実証的に考えることはどういうことか、社会の中でも応用できるように研鑽を積んでほしい。営業マンになろうと、企画課の職員になろうと、メディアの送り手になろうと、人々が使うメディアや人々の行動が実際にどうなっているか、という仮説を念頭に現実に切り込んでいければ、仕事の成果で得られるものも多い。がんばってほしい。 |
キーワード1 | 配給会社 |
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