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学科 | 教育文化学科 |
年度 | 2015 |
ゼミ名 | 吉田 亮 |
タイトル | 「1920年代アメリカ合衆国におけるアフリカ系帰還と汎アフリカ ニズム―運動家マーカス・ガーヴェイとW.E.B.デュボイスの類似点に着目して―」 |
内容 | 本稿では1920年代のアメリカ合衆国におけるアフリカ系アメリカ人の権利獲得運動について研究を行った。先行研究では、権利獲得運動の主体が北部アフリカ系リーダ層であるとされ、南部アフリカ系リーダの代表的人物であるマーカス・ガーヴェイに対して、あまり焦点があててこられなかった。また、北部アフリカ系リーダ層の中心人物であったW.E.B.デュボイスとガーヴェイの運動観の相違については指摘されているものの、その類似点に関してはこれまで研究がなされてこなかった。本稿ではこの点を明らかにすべく、第一章において南北戦争以降から1920年代におけるアフリカ系の状況と、権利獲得運動の歴史について説明する。第二章、第三章においてガーヴェイの権利獲得運動観の特徴を明らかにし、それがデュボイスの運動観とどのような共通点があるのかを明らかにしていく。両者の権利獲得運動における類似点をまとめ、当該期における同運動を捉え直していきたい。 |
講評 | 「1920年代アメリカ合衆国におけるアフリカ系帰還と汎アフリカ ニズム―運動家マーカス・ガーヴェイとW.E.B.デュボイスの類似点に着目して―」 は、20世紀初頭期のアフリカ系アメリカ人による権利獲得運動観を事例としてと りあげ、従来の同運動に関する研究にみられる二項対立的解釈に対し、新たな解 釈を提示している。同時期のアフリカ系リーダーを代表するガーヴェイとデュボ イスは、権利獲得運動における立場やストラテジーにおいて顕著な違いが指摘さ れてきた。例えば、前者は白人からの自立を、後者は白人との協調を、というよ うにである。しかし、時期を20世紀前半期まで拡げて考察すると、白人から自立 したアフリカ系自身による権利獲得運動の推進や、アフリカや同地域の住民との 連携や同地域の独立を提唱するデュボイスに、20年代に類似の主張を展開してい たガーヴェイの姿をおぼろげながら見ることが出来るのである。近年、アフリカ 系の研究においては、ディアスポラやトランスナショナリズムなどの概念を用い て、アメリカ合衆国内外のアフリカ系史を繋ごうとする試みがなされるようにな ってきている。特に、デュボイス研究においては、彼が喧伝した汎アフリカニズ ムの再評価がなされているが、ガーヴェイを含むアフリカ系史研究を見直すまで には至っていない。その点で、ガーヴェイとデュボイスの運動観に類似点を見い だそうとする本研究は、大いに評価されるべきである。さらに、類似点の考察対 象をアフリカ系以外にまで視点を拡げ、同時期の人種的マイノリティによる権利 獲得運動全体の特徴を見直す研究も必要となろう。 |
キーワード1 | 汎アフリカニズム |
キーワード2 | 権利獲得運動 |
キーワード3 | マーカス・ガーヴェイ |
キーワード4 | W.E.B.デュボイス |
キーワード5 | アフリカ系 |
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