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学科 産業関係学科
年度 2015
ゼミ名 石田 光男
タイトル 日本の音楽産業 ~衰退の要因とビジネスモデルの変化~
内容  音楽産業は世界的に見ても、ここ15年ほど低迷の一途を辿っている。日本の音楽産業は世界第2位の規模を誇り、売上高の過去最高益は1998年、6000億円強にも上ったが、2014年は3000億円弱と、ピーク時の約半分にまで落ち込んでしまっている。
 なぜ落ち込んでしまったのか。理由は数多くあるが、その中でも科学技術の発達による音楽のデジタル化が著しく進行していることが最も大きいとされている。もう少し詳細に述べれば、デジタル化によって無料に近い値段で音楽を聴く手段が増えてしまったことから、売上の多くを占めていた音楽CDが売れなくなってしまった。生産者であるレコード会社はCDの不要化を食い止め切れず、音楽産業は現在の規模にまで落ち込んでしまったということだ。そのような状況下で、音楽をCDというモノではなく、あらかじめデジタル・データとして提供する音楽配信という事業も開始されたが、日本ではこちらの売上を伸ばし切ることもできていない。
 本論文では、そのような日本の音楽産業の苦悩と共に、ビジネスという側面を取り払った、私の考えるそもそもの音楽のあるべき姿について述べている。
講評 全体の講評:卒論は大学での勉強の総決算であるから、日ごろの勉学の質が問われる。全体に3・4年でのゼミでの勉強が、すべて私の責任であるが、不徹底で、何とか形式を整えたものがいくつか散見される。とはいえ、下記の卒論は評価すべき努力の産物である。
 「アンドルー・ゴードンから見る日本労使関係」は、難しい方法的問題に直面しつつ、よく粘った論文である。難しさは、アンドルー・ゴードンの『日本労使関係史』のような、史実に基づいた手堅い歴史的実証研究を跡付けながら、なおかつ実証的裏づけを持ちえない自身の意見や批判をどのように表現すべきかという問題である。ただ単にその本の要約では物足りない、かといって実証的に反論する材料を事欠き、かつ反論の論拠は石田仕事論に依拠せざるを得ない弱点の自覚の中で、何とか今の力量の範囲でまじめに取り組んだことを高く評価したい。
 「人生哲学を踏み台にして」は、難解な福田恒存の『芸術とはなにか』と『人間・この劇的なるもの』をよく読み、どのように理解したかを丁寧に述べた論文である。一見、産業関係とは無縁なテーマであるが、社会科学の失いつつある人間学としての本質を回復する必要という文脈におきなおして考えれば、適切なテーマである。この真摯な勉強により、産業関係学も哲学であるとまで言い切れる理解につながっている力作である。
 「日本の音楽産業」は、そのビジネスとして変容を克明に描いた石田仕事論の系譜に属する好論文である。執筆者の音楽への情熱が書かせた作品である。
キーワード1 CD売上
キーワード2 音楽のデジタル化
キーワード3 著作権
キーワード4 ライブ・コンサート
キーワード5  
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