詳細 | |
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学科 | 産業関係学科 |
年度 | 2015 |
ゼミ名 | 石田 光男 |
タイトル | 人生哲学を踏み台にして |
内容 | 「心の持ちようで人生は変わる」という前向きでポジティブな思想が、現代にはあふれかえっている。街の書店に行ってみるといい。そこにある自己啓発書がこの教えの計点だ。半面では確かにそうなのだろう。下向き精神で毎日を過ごすよりも、常に物事をいいようにとらえる心を持っていた方がいい。当たり前の話だ。この教えは明らかに正しい。 しかし、本当にそうだろうか。この人生論には何か大きな欠陥があるのではないか。実は思想は独島嘘も大いに含んだものであり、この考え方には何か不十分な点が多分に含まれているのではないだろうか。 自己啓発本の教えでは見落とされがちな穴にはまらないためには、福田恒存の人間論を土台に人間の生き方という物を考える。事故を滅ぼす全体というものを信じる生き方という彼の主張や芸術論は、どれもこれもが正しいものであるだろう。 だが、そんな正しい思想がこの社会で受け入れられない。正しいものが正しくないとみなされるのである。そのような矛盾を引き起こすものが人間というものであり、これはどうしようもない事なのかもしれない。 このどうしようもなさや、うまくいかなさにふさぎ込んだときに、ふと見上げると、そこにはいつもと変わらない空があった。この空の美しさを感じられるだけで、本当は十分なのかもしれない。 |
講評 | 全体の講評:卒論は大学での勉強の総決算であるから、日ごろの勉学の質が問われる。全体に3・4年でのゼミでの勉強が、すべて私の責任であるが、不徹底で、何とか形式を整えたものがいくつか散見される。とはいえ、下記の卒論は評価すべき努力の産物である。 「アンドルー・ゴードンから見る日本労使関係」は、難しい方法的問題に直面しつつ、よく粘った論文である。難しさは、アンドルー・ゴードンの『日本労使関係史』のような、史実に基づいた手堅い歴史的実証研究を跡付けながら、なおかつ実証的裏づけを持ちえない自身の意見や批判をどのように表現すべきかという問題である。ただ単にその本の要約では物足りない、かといって実証的に反論する材料を事欠き、かつ反論の論拠は石田仕事論に依拠せざるを得ない弱点の自覚の中で、何とか今の力量の範囲でまじめに取り組んだことを高く評価したい。 「人生哲学を踏み台にして」は、難解な福田恒存の『芸術とはなにか』と『人間・この劇的なるもの』をよく読み、どのように理解したかを丁寧に述べた論文である。一見、産業関係とは無縁なテーマであるが、社会科学の失いつつある人間学としての本質を回復する必要という文脈におきなおして考えれば、適切なテーマである。この真摯な勉強により、産業関係学も哲学であるとまで言い切れる理解につながっている力作である。 「日本の音楽産業」は、そのビジネスとして変容を克明に描いた石田仕事論の系譜に属する好論文である。執筆者の音楽への情熱が書かせた作品である。 |
キーワード1 | 自己啓発書 |
キーワード2 | 演戯 |
キーワード3 | 仮面 |
キーワード4 | カタルシス |
キーワード5 | 全体 |
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