詳細
学科 産業関係学科
年度 2015
ゼミ名 冨田 安信
タイトル 働き過ぎの日本人
内容 アキ現在の日本は長い平成不況からようやく脱し、景気も回復傾向にあり、雇用情勢も改善してきている。しかし、長時間労働は増加している。長時間労働をしている人の特徴を見ると、まず労働時間管理が柔軟な人ほど長時間労働である。また、労働時間が長い人ほど年収も多いという傾向は見られるが、労働時間は収入に影響する要因の1つにすぎず、「働けば働くほど儲かる」とも言えない。サービス残業が多いのは裁量労働制で働いている人である。裁量労働制は成果主義である。成果主義は何時間働いたかとは関係なく、どのくらい成果を残したかによって評価される働き方であるが、裁量労働制で働く人は、サービス残業を含め、労働時間が長くなっている。長時間労働を解消するためには、部下につねに最高水準の成果を求めるのではなく、及第点の成果を求めるという上司の管理のあり方、プライベートも含めて、職場内のコミュニケーションを円滑にすることである。つまり管理職としての正しいマネジメントスキルを身につけることが、長時間労働の是正につながっていく。
講評 アキ学生が選んだ卒業論文のテーマから、今、労働市場で何が課題なのかが見えてきます。重要な課題の1つが、これからの労働力不足にどう対応するかです。「労働力不足の解決について」は総論として、女性、高齢者、若者、そして外国人の活躍に期待せざるをえないことを述べています。そして、女性が活躍する職場環境について議論したのが「女性が管理職として活躍するためには」であり、外国人労働者が活躍する可能性について議論したのが「外国人労働者の受け入れ」です。この2つの論文が各論にあたります。
アキ長時間労働の是正も重要な課題の1つです。「日本人の働き方」は長時間労働の原因を明らかにし、その解決策を提案しています。「ホワイトカラーエグゼンプションの導入について」は、ホワイトカラーエグゼンプションは効率的な働き方を促すことになるかどうかを検討しています。この2つの論文は、それぞれのテーマを論じた重要な著書を1冊しっかり読むことから始まりました。
アキそして、格差社会も重要な課題の1つです。「官製ワーキングプアの現状とその解決策」がこの課題に関連した論文で、地方公務員の給与の決め方も議論しています。また、中小企業に就職する学生が、「中小企業はどのようにして生き残るのか」で、大企業と中小企業の格差問題を取り上げました。アキ毎年、4月から働き始める会社の業界を詳しく知るということもあり、その業界に関するテーマを選ぶ学生がいます。今回は、携帯電話会社に就職する学生が「移動体通信の現状とその可能性」という論文を書きました。
アキ今年もこんなテーマがあるのかと驚かされた論文がありました。その1つが「成功者は総じて人格者である」です。成功した経営者に共通したものは何かを探った論文です。なかなかいいタイトルです。もう1つが「石炭から見る日本経済の変遷」です。労使協調型の労使関係が確立するきっかけになったのが三井三池炭鉱の労働争議ですが、その話を久しぶりに聞きました。
アキ最後が「留学生が見た日本の人事制度の強みと弱み」です。留学生が産業関係学科で4年間勉強してきたことの集大成として、「日本企業で働くとはどのようなことなのか」「日本企業で働くならどのようなことを知っておくべきなのか」という疑問から書き始めました。留学生らしいいいテーマです。
アキゼミ生に卒業論文の書き方についていいアドバイスができたわけではありませんが、世の中で、あるいは研究者の間で意見が分かれているテーマを選ぶのはどうでしょう。それぞれの意見にちゃんとした根拠があるのかどうかを調べて、最後に自分の意見を述べる、これも根拠を示しながら述べる、そんな卒業論文の書き方もあると思います。
キーワード1 長時間労働
キーワード2 裁量労働制
キーワード3 サービス残業
キーワード4 マネジメントスキル
キーワード5  
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