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学科 産業関係学科
年度 2015
ゼミ名 冨田 安信
タイトル 石炭から見る日本経済の変遷
内容 アキ石炭産業は第二次世界大戦後の経済復興に重要な役割を果たすとともに、労使協調型の労使関係が確立したもの、石炭産業における激しい労働争議の反省からである。まず、炭鉱のしくみとそこで働く炭鉱夫の生活を紹介したあと、傾斜生産方式について述べる。第二次世界大戦後、焦土と化した日本ではあらゆる物資が不足し、国内は大混乱に陥っていた。これを解決するため、政府はあらゆる産業の基盤となる鉄鋼と石炭生産に予算と原材料を重点的に配分する傾斜生産方式を採用した。その結果、国内の石炭採掘量は増え、さらに朝鮮特需などの外的要因も相まって、日本経済は立ち直り、戦後の疲弊から脱却し、高度成長の時代へと入っていった。また、石炭産業が日本の労使関係にも変化をもたらした。1950年代、エネルギーが石炭から石油に転換したことにより石炭需要が激減した。大量の雇用削減をめぐる三井三池炭鉱で起きた労働争議は長期化し、死者を出すほどの激しいものとなった。このときの経験から、日本では労使協調型の安定した労使関係が定着した。
講評 アキ学生が選んだ卒業論文のテーマから、今、労働市場で何が課題なのかが見えてきます。重要な課題の1つが、これからの労働力不足にどう対応するかです。「労働力不足の解決について」は総論として、女性、高齢者、若者、そして外国人の活躍に期待せざるをえないことを述べています。そして、女性が活躍する職場環境について議論したのが「女性が管理職として活躍するためには」であり、外国人労働者が活躍する可能性について議論したのが「外国人労働者の受け入れ」です。この2つの論文が各論にあたります。
アキ長時間労働の是正も重要な課題の1つです。「日本人の働き方」は長時間労働の原因を明らかにし、その解決策を提案しています。「ホワイトカラーエグゼンプションの導入について」は、ホワイトカラーエグゼンプションは効率的な働き方を促すことになるかどうかを検討しています。この2つの論文は、それぞれのテーマを論じた重要な著書を1冊しっかり読むことから始まりました。
アキそして、格差社会も重要な課題の1つです。「官製ワーキングプアの現状とその解決策」がこの課題に関連した論文で、地方公務員の給与の決め方も議論しています。また、中小企業に就職する学生が、「中小企業はどのようにして生き残るのか」で、大企業と中小企業の格差問題を取り上げました。アキ毎年、4月から働き始める会社の業界を詳しく知るということもあり、その業界に関するテーマを選ぶ学生がいます。今回は、携帯電話会社に就職する学生が「移動体通信の現状とその可能性」という論文を書きました。
アキ今年もこんなテーマがあるのかと驚かされた論文がありました。その1つが「成功者は総じて人格者である」です。成功した経営者に共通したものは何かを探った論文です。なかなかいいタイトルです。もう1つが「石炭から見る日本経済の変遷」です。労使協調型の労使関係が確立するきっかけになったのが三井三池炭鉱の労働争議ですが、その話を久しぶりに聞きました。
アキ最後が「留学生が見た日本の人事制度の強みと弱み」です。留学生が産業関係学科で4年間勉強してきたことの集大成として、「日本企業で働くとはどのようなことなのか」「日本企業で働くならどのようなことを知っておくべきなのか」という疑問から書き始めました。留学生らしいいいテーマです。
アキゼミ生に卒業論文の書き方についていいアドバイスができたわけではありませんが、世の中で、あるいは研究者の間で意見が分かれているテーマを選ぶのはどうでしょう。それぞれの意見にちゃんとした根拠があるのかどうかを調べて、最後に自分の意見を述べる、これも根拠を示しながら述べる、そんな卒業論文の書き方もあると思います。
キーワード1 石炭産業
キーワード2 炭鉱街
キーワード3 傾斜生産方式
キーワード4 三井三池争議
キーワード5  
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