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学科 産業関係学科
年度 2015
ゼミ名 冨田 安信
タイトル 外国人労働者の受け入れ―ドイツと日本―
内容 アキ戦後のドイツは、外国人労働者を短期間の制限付きで受け入れた。しかし、ドイツ企業は訓練した労働者を帰国させるたくなく、政府に働きかけ、受け入れ期間の制限を撤廃させ、家族の呼び寄せも認めさせた。その後、石油危機により経済が停滞すると、政府は外国人の流入を阻止し、現存する外国人労働者を帰国させようとしたが、再入国を禁止したため、帰国する者が少なかった。結局、ドイツは外国人労働者にドイツ社会への統合を求めた。現在の日本で外国人労働者を受け入れる主な方法は、技能実習生、外国人高度人材、南米系日系人の三つである。技能実習生は、企業単体型と団体監理型の二種類があり、前者は促進させるべきであるが、後者は技能実習生を劣悪な労働環境で働かせることに繋がるので見直すべきだ。外国人高度人材の増加を日本政府が促進しているが、上手く進んでいない。日系人も最盛期と比較すると半分程度に減少している。これは、日本の外国人労働者の受け入れ方に問題があるか、外国人が日本で働きたくないためだと思われる。日本に外国人労働者の定着を望むのであれば、外国人が働きたいと思うような社会を作ることが重要となる。
講評 アキ学生が選んだ卒業論文のテーマから、今、労働市場で何が課題なのかが見えてきます。重要な課題の1つが、これからの労働力不足にどう対応するかです。「労働力不足の解決について」は総論として、女性、高齢者、若者、そして外国人の活躍に期待せざるをえないことを述べています。そして、女性が活躍する職場環境について議論したのが「女性が管理職として活躍するためには」であり、外国人労働者が活躍する可能性について議論したのが「外国人労働者の受け入れ」です。この2つの論文が各論にあたります。
アキ長時間労働の是正も重要な課題の1つです。「日本人の働き方」は長時間労働の原因を明らかにし、その解決策を提案しています。「ホワイトカラーエグゼンプションの導入について」は、ホワイトカラーエグゼンプションは効率的な働き方を促すことになるかどうかを検討しています。この2つの論文は、それぞれのテーマを論じた重要な著書を1冊しっかり読むことから始まりました。
アキそして、格差社会も重要な課題の1つです。「官製ワーキングプアの現状とその解決策」がこの課題に関連した論文で、地方公務員の給与の決め方も議論しています。また、中小企業に就職する学生が、「中小企業はどのようにして生き残るのか」で、大企業と中小企業の格差問題を取り上げました。アキ毎年、4月から働き始める会社の業界を詳しく知るということもあり、その業界に関するテーマを選ぶ学生がいます。今回は、携帯電話会社に就職する学生が「移動体通信の現状とその可能性」という論文を書きました。
アキ今年もこんなテーマがあるのかと驚かされた論文がありました。その1つが「成功者は総じて人格者である」です。成功した経営者に共通したものは何かを探った論文です。なかなかいいタイトルです。もう1つが「石炭から見る日本経済の変遷」です。労使協調型の労使関係が確立するきっかけになったのが三井三池炭鉱の労働争議ですが、その話を久しぶりに聞きました。
アキ最後が「留学生が見た日本の人事制度の強みと弱み」です。留学生が産業関係学科で4年間勉強してきたことの集大成として、「日本企業で働くとはどのようなことなのか」「日本企業で働くならどのようなことを知っておくべきなのか」という疑問から書き始めました。留学生らしいいいテーマです。
アキゼミ生に卒業論文の書き方についていいアドバイスができたわけではありませんが、世の中で、あるいは研究者の間で意見が分かれているテーマを選ぶのはどうでしょう。それぞれの意見にちゃんとした根拠があるのかどうかを調べて、最後に自分の意見を述べる、これも根拠を示しながら述べる、そんな卒業論文の書き方もあると思います。
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