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学科 | 産業関係学科 |
年度 | 2015 |
ゼミ名 | 上田 眞士 |
タイトル | 日本の女性社会進出を阻む問題 ―北欧諸国から見る問題意識と今後の日本社会の課題― |
内容 | 現在の日本の経済社会において近年、少子高齢化による労働力不足が懸念され、国力維持のために女性の社会進出への取り組みへより目を向けられている。男女雇用機会均等法が制定以来、女性の働きやすい環境づくりは改善されつつあり、女性の労働力率の特徴とされているM字カーブは緩やかに変化している。しかし、このM字カーブは欧米諸国ではすでに見られず、労働市場のグローバル化が進む中、日本は女性の社会進出において遅れをとっている。かつて日本と同様にM字カーブを描いていたデンマークやスウェーデンでは、フレキシキュリティと呼ばれるフレキシブルな労働市場によって、M字カーブの改善を果たした。両国と日本の違いは労働市場の柔軟性と家族構成に影響するような社会政策手段や税制である。国家の基盤となる社会政策や税制が異なるため、日本では両国の制度を直輸入することは厳しい。そこで、日本の雇用における弱さであろう長期雇用を基本とする内部労働市場・正社員と非正社員の雇用形態・労働組合の経営への関与の仕方の3点の改善によって、新たな日本的フレキシキュリティを構築することが必要である。 |
講評 | 皆さん方の卒論テーマを大まかに分野別に括ってみると,「若者の雇用&教育問題」「規制緩和&ブラック企業問題」「女性労働とWLB」「海外進出と経営改革」「LGBT&コミュニケーンなど現代社会の文化的問題」等々となっています。これらのテーマに表象されているものは,一方での経済のグローバル化や市場主義の展開,また他方では国内での種々の社会問題,労働問題の発生という,現代日本の雇用社会を舞台に展開しているダイナミズム,現実社会での当事者たちの苦闘ということになるでしょう。個々の論文ごとに,問題の掘り下げや論理的な記述という点では,たしかに精粗もありました。しかし基本的には,卒論作成という課題に対して,大変な就職活動の中でもゼミ生皆が真面目に取り組んでくれた,そのように考えています。そこでここでは,研究や考察に際して私が大事だと思うポイントを簡単に指摘して,ゼミでの卒論作業を締めくくる講評としたいと思います。大切なことは,一つには,論文の良し悪しの重点は,問題把握や理解の深さにこそあるのだということです。そして,そのためにも,幅広く学習するという態度をもって欲しい,そうした要望です。やはり参考文献の数が多く,多様な角度から一つの問題を考察している論文ほど,出来が良いように思われました。しばしば耳にする建築のアナロジーで言えば,「高い建物」を建てるためには,「広い土台」が必要だということです。これは学問の世界に限らず,皆さん方の多くが足を踏み出す企業経営の世界でもそうだと思います。人事職能なら人事職能で,多様な製品事業部を経験する。営業なら営業で,国内・海外で多様な地域を経験する。そして,その一コマ一コマで学習が必要になる,そういうことだと考えて下さい。いま一つは,まとめや考察にあたっては,無理矢理な政策提言などを行わないこと。むしろ課題を掘り下げて提示することの方が,ずっと大事だということです。政策提言の価値自体を否定するつもりはありません。問題は,安易に政策提言してしまう習い性には,「わかったつもりになる」という悪弊が結びつくということでしょう。漠然としていて曖昧模糊で,何を論じて良いのか判らないという状況から,具体的に解かれるべき課題が見えて来る。言いたいことは,そこが一番大事なのだということです。そして,課題の存在や正体が分かったら,多くの人々の実践の努力は,試行錯誤を通じて,必ず何らかの答えを用意していく。少なくとも私は,そのように思います。とはいえ,「言うは易く行うは難し」。卒論の評価基準というよりは,論文執筆や考察の際の心がけだ,そのように考えて下さい。<以上> |
キーワード1 | 労働市場 |
キーワード2 | 雇用制度 |
キーワード3 | 子育て支援制度 |
キーワード4 | フレキシキュリティ |
キーワード5 | |
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