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学科 社会学科
年度 2016
ゼミ名 板垣 竜太
タイトル 近江神宮の重層的聖地化と聖地化アクターの関係性
内容 私の住む滋賀県大津市には近江神宮という神社がある。近江神宮は「天智天皇を祀る聖地」であり、「かるたの聖地」であり、「ちはやふるの聖地」でもある。近江神宮の歴史を振り返るとこうした3つの価値が重層的に付与され、それぞれの聖地になっていくプロセスが読み取れる。近江神宮を聖地として訪れる巡礼者を、天智天皇を祀る地域住民、競技かるたの活動を行うかるた協会関係者、ちはやふるの舞台探訪に訪れるちはやふるファンの3つのタイプに分ける。これらの聖地化を促す存在である巡礼者を本稿では聖地化アクターと呼び、その聖地化アクターたちは近江神宮という同一の場でどのような関係を築いているのかをインタビュー調査を通して明らかにする。
インタビューを分析した結果、「天智天皇」「競技かるた」「ちはやふる」という3つの要素と地域住民、かるた協会関係者、ちはやふるファンというそれぞれの聖地化アクターの間にはほとんど摩擦や軋轢は見られなかった。それぞれの聖地化アクターの持つ近江神宮に対するイメージにはずれがあるものの、物理的には近江神宮という同一の場を共有しつつ、相互補完的にうまく併存しているということがわかった。
講評 近江神宮という1つの場所が、天智天皇を祀る場、百人一首の殿堂、そして映画「ちはやふる」の「聖地」という3つの層で意味づけをされてきたことについての研究である。論文の研究対象と方向性が定まるのが遅く、もっと早くスタートできていたらという感は否めない。記述も平板で、考察も十分深められているとはいいがたい。ただ、20世紀半ば頃から現在にいたる三重の聖地化のプロセスを歴史的にたどるとともに、それぞれの巡礼の担い手にインタビューをおこない、それぞれにとっての「聖地」が場所としては同一だが意味付与が異なっていること、しかしその三者のあいだには葛藤が見られるほどではなく相互補完的であることを明らかにした点で、何とか論文として成立しているということができる。
キーワード1 近江神宮
キーワード2 聖地
キーワード3 聖地化
キーワード4 巡礼
キーワード5  
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