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学科 社会学科
年度 2016
ゼミ名 板垣 竜太
タイトル 「仁徳陵」の世界遺産登録を巡る葛藤―記憶か学問か―
内容 現在世界遺産の国内推薦を目指す百舌鳥・古市古墳群は皇室財産である天皇陵が含まれており、従来の世界遺産登録とは別の事情を抱えながら世界遺産登録への活動を行っている。これらを世界遺産に登録するということは日本独自の概念である「天皇」を世界遺産という「世界基準」にはめ込むことになり、憲法によって国の象徴と規定された天皇の正統性に関わる。また、天皇陵は宮内庁に管理されており、本来世界遺産の登録に関わってくる行政や市民に加えて宮内庁や右翼団体、考古学者等が関わっている。
しかしこのような複雑な状況下での世界遺産登録についてはあまり公にはなっておらず、この古墳周辺に住む住民ですらはっきりと状況を理解していないままこの活動は行われている。本論文で「仁徳陵」のある堺市に焦点を置いて、この活動に関わる団体やそれに反対する団体の思惑・見解を調査することで、この世界遺産登録を巡って葛藤があることが明らかになった。
講評 天皇の正統性に深く関わる大仙古墳(仁徳陵)の世界遺産化に関わり、その呼称(被葬者が誰かに関わる)、公開・発掘、文化遺産化の方式などについて、その見解のズレを追った論文である。主としてインタビューにもとづき、世界遺産化を推進しようとする堺市、地域住民そして宮内庁・文化庁、多くの問題を置き去りにしたままで進行する状況に警鐘を鳴らす研究者、イデオロギー的に反対する右翼団体など、それぞれの立場と葛藤の在処を明らかにしており、おもしろい話になっている。ただ「記憶の場」論を軽く導入しているだけで、これだけ興味深い素材を考察しきれていないのは実にもったいない。
キーワード1 世界遺産
キーワード2 天皇陵
キーワード3 集団記憶
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