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学科 | 社会学科 |
年度 | 2016 |
ゼミ名 | 板垣 竜太 |
タイトル | 韓国社会におけるミソジニーへの対抗運動の原動力をめぐって:サイバー空間から日常生活へ |
内容 | 本論文は、2016年現在、韓国社会の主要な争点として浮かび上がったミソジニーに関心をおくことから始まる。ミソジニーは、長い歴史のなかで頑固に維持されてきたことから、それなりの伝統をもつ悠久な文化とも言える。しかし、ミソジニーが軽視してはいけない社会問題として注目を浴びたのは、ごく最近のことである。これを可能にした背景には、ミソジニーに対する連鎖的で長期的な抵抗があったからで、韓国のフェミニズム史は画期的な転換点を迎えたとも評価できる。サイバー空間だけの占有物とされてきた形式のミソジニーは、現実世界においてもその影響力を固め、女性の人間としての日常まで破壊した。このような状況に伴い、サイバー空間を主軸に、沈黙せずにそのまま反撃する女性側の対抗戦術は、新たな波を提供した。ミソジニーがより発展した形で女性を締め付けている現状から、公的な領域をこえた段階で、女性の私的空間がもつ社会・政治性にも注目しなければならない。 |
講評 | 本論文は、近年韓国で大きな議論を巻き起こしたミソジニーについて、最近になってフェミニストとなった若い世代の女性を対象として、かれらがサイバー空間のみならず日常生活まで問題を感ずるにいたったプロセスとその認識を明らかにしようとした研究である。先行研究のサーベイにもとづく課題の絞り込み、感情レベルのことばまで引き出すインタビュー、論文の展開の緻密さなどの点で卓越した論文である。インタビュイーの対抗のあり方の描写や、より大きな時間軸と問題の広がりのなかでの事例の位置づけという点で不足感もあるが、現代韓国社会の日常性から出発して、今後のありうべきフェミニズムのあり方をも示唆する社会学的論文として高く評価できる。 |
キーワード1 | ミソジニ― |
キーワード2 | フェミニズム |
キーワード3 | ジェンダー |
キーワード4 | 女性嫌悪 |
キーワード5 | |
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