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学科 社会福祉学科
年度 2016
ゼミ名 木原 活信
タイトル 高齢者虐待防止のための支援―介護負担と家族関係からの視点―
内容 世界一の超高齢化社会を突き進む日本では、様々な介護問題が生じている。その中でも、高齢者介護と関連性の高い高齢者虐待の問題に注目した。核家族化傾向の中、介護者の大部分を家族が占めることで、家族の介護負担は増している。高齢者の介護は、簡単にできるものではない。介護者自身が余裕を失い、ゆとりをなくしてしまうこともあることが、さらに介護負担感を増幅させてしまう。その介護のストレスは要介護高齢者に向けられる。本論文では、高齢者虐待の対応に家族支援を活用していくことの可能性を論じることを目的としている。虐待が起こった場合、それまでの家族関係が虐待の種類や程度に大きな影響を及ぼすということが分かったことから、虐待を引き起こしてしまう家族の関係性を変化させていくことが必要である。家族の力を引き出すとともに、家族一人一人が問題に対し主体的に取り組めるような支援をしていかなければならないとし、結論とした。
講評 テーマ設定は自ら考えるというのが僕の方針である。それは、テーマを自ら発見し、それを探求する過程こそ研究の第一歩であり、そこに重要な意義があると考えるからである。その意味では、今年も各自よくテーマを自分なりに模索しつつ、よく練られたテーマを考えたと思う。その結果、上記に記すようなテーマとなった。
今年の卒論は、精神障害、発達障害、知的障害、児童・高齢者虐待、高齢者の介護問題、認知症のケア、依存症、ひきこもり、不登校、家族問題、犯罪などというキーワードが浮かびあがってくるように極めて現代的な福祉の重要課題に基づくテーマとなっている。それぞれが社会福祉学を学ぶにあたっての集大成として、これらのテーマと必然的に出会ったようであったが、鋭い問題意識をもってユニークな研究テーマに取り組めたと思う。
テーマ設定にはその時代を色濃く反映してその解決を模索したものが多いが、社会福祉学の場合、たまに学生の自らの青年期の課題を生きるために苦悩しつつ、それを必死で言語化している場合も散見される。歴史学者の阿部謹也氏が言うところの「自分のなかに歴史を読む」ということであろう。これを機にそれらの問題を更に突き止めていってもらいたいが、仮にもテーマそのものが自らの個人体験的課題に直結するのであれば、この卒論の論文執筆を通して、その問題から「解放」された自由人になることも切望したい。
ところで、テーマに付随する先行研究を整理するのには手間と時間がかかる。これに苦労してなかなか前に進まなかったものもあったが、これを丹念に進められたかどうかが論文の評価に直結してくる。英語文献まできっちりと読みこなした論文もあったが、これは高く評価したい。また自ら、調査課題を設定し、手間と時間をかけて自分なりの独自の調査を実施した論文もあったが、これも大いに評価できる。実践フィールドに自ら出かけてそこで課題を見出した論文もあったが、その分析・考察の課題はあるにせよ、リアリティのある論文となった。これらの意気込みとその作業を大いに評価したい。
締め切りぎりぎりまで厳しい論文執筆作業に苦心した者もあったが、全体として、私の厳しい注文にも自らの問題意識を軸に必死で活字にしようと本当によくがんばったと思う。なかには、大学院生の学位論文顔負けの鋭い問題意識をもって新機軸を模索しようとするような論文もあった。
キーワード1 介護負担
キーワード2 家族
キーワード3 家族関係
キーワード4  
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