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学科 社会福祉学科
年度 2016
ゼミ名 空閑 浩人
タイトル 高齢者福祉施設のQOLの向上―「こころのQOL」に焦点を当てて―
内容 本稿は、現在迅速なスピードで進んでいる高齢化の中で高齢者福祉施設に焦点を当て、そのQOL(Quality of Life)とは何なのか。利用者そして職員にとって施設はどうあるべきなのか。これからさらに高齢化が進み、介護の人員不足が予想される中で、現在の高齢者福祉施設の課題と向き合い、重要視するべきQOLとは何かを明らかにすることを目的とする。
そして医療や福祉の現場で重要とされている、生活の質であるQOLとは何かについて論じる。その中で、介護の現場でのQOLで大切にすべきこと、「こころのQOL」とは何かを第一章の課題に沿って述べる。また、「こころのQOL」向上のために新しい取り組みを行っている施設を取り上げる。 最後に、今後さらに高齢化が進み施設や利用者が増える一方で、施設利用者の「こころのQOL」を向上し、維持するために必要なことは何かについて考察を行い、日本の高齢者福祉施設へのマイナスイメージを払拭し、高齢者福祉施設の介護における無限の可能性や奥深さについて明らかにする。
まず最初に、現在の高齢者施設の現状について調査し、そこから筆者が特別養護老人ホームの実習でQOLの向上に必要であると感じた、自立支援と人員不足の観点から課題を挙げる。自立支援は介護を行う際に重視するべきことだが、それに対する利用者の自己決定との間にジレンマが生じた際、利用者の「こころのQOL」に焦点を当てたケアとは何か。また、現在人員不足の中で利用者のニーズに寄り添った支援が出来ているのか。「こころのQOL」の高いケアを行う上で、現在の人員不足がもたらす問題点にも目を向ける。
講評 本論文(「高齢者福祉施設のQOLの向上―「こころのQOL」に焦点を当てて」)は、特別養護老人ホームでの自らの実習経験から、施設で暮らす利用者のQOL(生活の質)について論述したものである。筆者が提唱した「こころのQOL」の概念とそれを支えるケアの実践についての考察は、介護の仕事の奥深さや面白さ、可能性の再発見へと至る。

同志社大学空閑ゼミ第13期卒業生となった今年度のメンバーは、17名が無事に卒業論文を提出した。非常に多彩なテーマがそろったが、いずれのテーマも、社会のなかで、あるいは地域の一員として「人が生きて、生活すること」にかかわる社会福祉の学びにおいては、避けることの出来ない非常に重要な課題である。同時に、非常に「重い」そして「深い」課題でもある。ゼミメンバーの卒業論文を通して、社会福祉研究における対象の広さ、深さや多様性、そして様々なテーマの相互のつながりと関連性、個人が体験する生活問題に対する社会的かつ構造的なまなざしの大切さに、改めて気づくことができた思いである。
卒業研究とその成果としての卒業論文は、メンバーによって、確かに出来不出来はある。もう少し早くから取り組んでいたら、もう少し多くの文献を読み込んでいたら、もう少し考察を深めてくれたら、もう少し丁寧に調査ができていたら、などと思う論文もある。しかし、「学問」の営みはこれで終わるわけではない。卒論の完成は、新たな問いや学び、考察への出発点でもある。4月以降もそれぞれの新しい場所で、「問い」続け、「学び」続け、そしてその問いや学びを誰かと(もちろん私も含めて)共有して行って欲しい。
キーワード1 高齢者福祉施設
キーワード2 こころのQOL
キーワード3 自立支援
キーワード4 自己決定
キーワード5 人員不足
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