詳細 | |
---|---|
学科 | メディア学科 |
年度 | 2016 |
ゼミ名 | 佐伯 順子 |
タイトル | 映画の中の昭和時代―なぜ現代人は昭和ノスタルジアに浸るのか― |
内容 | 『ALWAYS 三丁目の夕日』(2005)、『フラガール』(2006)、『東京タワー―オカンとボクと、時々、オトン―』(2007)と、昭和30~40年代を舞台とした映画が立て続けにヒットした。この流れを受け、昭和30~40年代を好意的に懐古する昭和ノスタルジアブームが起こった。 前述した映画を分析すると、これらの映画には、現代人が今では失ってしまったと感じているものが描かれていた。当時の人々が抱いていた未来への夢と希望や、人と人との密な関わり等である。人々は、失ってしまったものを映画の中に求め、昭和ノスタルジアに浸るのだ。 当時の世論調査は、人々が未来は今より良くなると信じていたことや、隣近所との交流が活発であったのは事実であることを示している。しかし、公害や少年犯罪など、映画には描かれない影の部分が存在していたことも確かだ。描かれた過去を鵜呑みにするのではなく、失ってしまったものを取り戻すためのヒントをメディアの中に追い求めるべきだろう。 |
講評 | 佐伯ゼミ2017年度生は、音楽、映画、テレビCM等の視聴覚的な媒体を、社会的背景との関わりから論じ、社会的データ、独自のアンケート調査の結果分析に、映像分析、言語情報の表象分析、言説分析を加え、多彩な方法論を駆使して、修士論文と同等の優秀な成果があがった。質的分析、量的分析の双方を駆使するのが佐伯ゼミ卒業論文の特徴であり、評論と論文の違いも、大学教育にふさわしいレベルで正確に指導した成果である。 本論文は、音楽を聴く行為が、レコードの購入からCD、さらにデジタル配信サービスへとメディア環境の変化とともに変容していく過程を考察し、最新の定額性音楽配信サービスが、旧媒体にかわって音楽聴取の主流になりえるか否かについて、文献調査とアンケート調査の方法論を融合して論じたものである。同世代のオーディエンスに行った独自のアンケート調査と、日本レコード協会、日本生産性本部等の外部機関の調査結果を総合的に考察し、音楽を「聴く」サービスとしての音楽配信サービスは今後主流になり得るものの、音楽を「所有」する喜びを与える意味でのレコードやCDの社会的意味は消滅しないであろうと結論づけた。受け手がどのような動機づけによって音楽を享受するかによって、“モノ”か情報かのすみわけがなされるという議論は、実証的データに基づく説得力があり、「音楽のデジタル移行への過渡期」としての現代の日本社会における音楽文化のありかたを、芸術史、音楽史とは異なる、メディア学的、社会科学的見地から論じたものとして、すぐれた研究成果をあげた。 |
キーワード1 | ノスタルジア |
キーワード2 | 昭和30~40年代 |
キーワード3 | 失われたもの |
キーワード4 | 未来への夢と希望 |
キーワード5 | 懐古主義 |
戻 る |