詳細
学科 メディア学科
年度 2016
ゼミ名 佐伯 順子
タイトル 映画と小説のメディア特性の違い―『秒速5センチメートル』の事例研究を中心に―
内容 メディアミックスが一般化された現代において、明確にそれぞれのメディア特性を理解できれば、より有効にメディアを生かせるのではないか、と考え研究した。研究方法は、先行研究における映画と小説の特性を踏まえつつ、一つの作品におけるそれぞれの表現の違いを比較することで、より研磨されたメディア特性を理解していく。事例研究では、ストーリーの違いとセリフ部分の違いを考察、さらにインターネット上の読者と視聴者の反応なども比較することで、メディアの違いを明らかにした。結果として、様々な点で描写することに長けた映画は、描写を主として作者の伝えたいことを観客に伝え、物語を精緻に描きやすい小説は、多くの登場人物の物語から作者の伝えたいことを読者に伝えるメディアであることが分かった。しかし、映画の描写による表現は、観客が“ことば”よりも親しみ慣れていない“映像”で語られるため、もっと普遍化する必要性があると感じた。
講評 佐伯ゼミ2017年度生は、音楽、映画、テレビCM等の視聴覚的な媒体を、社会的背景との関わりから論じ、社会的データ、独自のアンケート調査の結果分析に、映像分析、言語情報の表象分析、言説分析を加え、多彩な方法論を駆使して、修士論文と同等の優秀な成果があがった。質的分析、量的分析の双方を駆使するのが佐伯ゼミ卒業論文の特徴であり、評論と論文の違いも、大学教育にふさわしいレベルで正確に指導した成果である。
本論文は、音楽を聴く行為が、レコードの購入からCD、さらにデジタル配信サービスへとメディア環境の変化とともに変容していく過程を考察し、最新の定額性音楽配信サービスが、旧媒体にかわって音楽聴取の主流になりえるか否かについて、文献調査とアンケート調査の方法論を融合して論じたものである。同世代のオーディエンスに行った独自のアンケート調査と、日本レコード協会、日本生産性本部等の外部機関の調査結果を総合的に考察し、音楽を「聴く」サービスとしての音楽配信サービスは今後主流になり得るものの、音楽を「所有」する喜びを与える意味でのレコードやCDの社会的意味は消滅しないであろうと結論づけた。受け手がどのような動機づけによって音楽を享受するかによって、“モノ”か情報かのすみわけがなされるという議論は、実証的データに基づく説得力があり、「音楽のデジタル移行への過渡期」としての現代の日本社会における音楽文化のありかたを、芸術史、音楽史とは異なる、メディア学的、社会科学的見地から論じたものとして、すぐれた研究成果をあげた。
キーワード1 描写
キーワード2 物語
キーワード3 感じ
キーワード4 時間
キーワード5  
戻 る
Copyright (C) Doshisha University All Rights Reserved.