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学科 産業関係学科
年度 2016
ゼミ名 三山 雅子
タイトル 美容院の経営がもたらす美容師の労働環境
内容 本論文では、美容師の労働環境と離職についての研究を行った。美容院への客数の減少が美容師の働き方や賃金などに影響を与えている。客数の減少は、美容院の増加によって引き起こされており、過当競争の結果から生じた問題である。労働環境について詳しく調べると、ほとんどの美容師が9時間労働に加え、無給の自主練習で2時間、計11時間以上を美容院で過ごすという結果であった。その点で、美容業界は拘束時間が長い傾向がある。また、過当競争によって「施術の低価格化」が挙げられるが、それは安くすれば顧客が獲得できるであろうという安直な経営方針であった。「施術の低価格化」は美容師自身の給料を引き下げる原因に繋がり、安いだけが顧客の来客理由だとすると、競合店舗が現れた時に失客する恐れもある。そのため的確な顧客獲得のマーケティング戦略が美容院、美容師の運命を左右する。
講評 私のゼミでは卒論について、大学の正式な提出締め切りの前に、ゼミ内提出締め切りを設けている。なぜだかわからないが、それを守ることのできない学生が数年前から出現し始めた。就活は一時期より格段に楽になっている。だから卒論に取り組む時間は十分取れるにもかかわらずである。
ゼミ内提出締め切りを守ることができないという学生に何度か遭遇する中で気がついたことがある。結局、卒論の良し悪しは、大学の正式な提出締め切りの前、ゼミ内提出締め切り時から変わらないということである。これが意味することは簡単である。ようは執筆にかけることのできた時間に卒論の完成度は比例するということである。ある程度時間をかけて卒論を執筆することのできた学生の卒論は、お酒と同じで、執筆期間中に熟成を遂げる。つまり、最初は先行研究をなぞるだけであったものがじょじょにじょじょに熟成し、他者の言葉ではなく自分の言葉で書き始める。つまり、先人の思考と格闘したのだ。その結果として自分の思考と言葉を獲得したのだ。
一方、大学の正式な提出締め切りにギリギリに間に合う形で提出された卒論はほとんどが他者の言葉をなぞるのみで終わっている。自分の言葉がないわけではない。しかし、その自分の言葉は熟成することなく、生まれ落ちたままほっとかれている。だから読む者の気持ちを魅くことに欠ける。
ゼミ内提出締め切りを守ることができない学生が出始めてから、内容以前に卒論の形式を守ることができない学生も出現した。形式は内容を規定するから、卒論執筆要領を守ることができない学生の卒論は読んでも、内容的に光るものあるいは光るものになるかもしれない原石に遭遇することがほとんどない。卒論という思考の格闘を味合うことなく大学を卒業していくという意味で、これはとても残念なことだと思う。しかし、人はあるようにしかあれないということなのであろう。
キーワード1 過当競争
キーワード2 客数の減少
キーワード3 労働環境
キーワード4 超高齢化社会への対応
キーワード5  
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