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学科 産業関係学科
年度 2016
ゼミ名 上田 眞士
タイトル 日本の賃金体系の変遷から成果主義を考える -日本は米型の働き方にシフトしているのか-
内容 今日の日本企業の人事賃金制度は成果主義へシフトしていると言っても過言ではないだろう。だが、成果主義は元々アメリカで生まれたものであり、それを制度として取り入れるということは、日本がアメリカ型の働き方に変化してしまうということと同じなのではないだろうかという疑問が生まれた。しかし、アメリカ型の働き方に変化しているかどうかを判断するには、まず日本の人事賃金制度の特徴、つまり[日本らしさ]というものは何なのかということを検証する必要がある。そのためまずは、人事賃金制度における激動の時代であった戦後から成果主義が叫ばれるまでの変遷を振り返る。そこから[日本らしさ]を見出し、その後成果主義とは何なのかという初歩的なところから成果主義の先行研究、そして成果主義を実際に導入している企業の事例などから、日本での成果主義の実態を記述し、成果主義の善悪などは考えずにあくまでも客観的な視点から日本と成果主義の関係、そして「日本はアメリカの働き方にシフトしているのか」を追究する。
講評 各自の卒論テーマを大雑把に分野別に括ってみると、「女性労働&働き方改革&WLB」「長時間労働&ブラック企業&過労死問題」「グローバル化と経営改革」「報酬制度の成果主義改革」「教育改革と若年雇用問題」「地域経済活性化と金融機関」等々となっています。これらの主題が表現しているものは、一方での経済・経営のグローバル化や市場主義の展開、また他方では国内での種々の社会問題、労働問題の発生という、現代日本の雇用社会が展開しているダイナミズム、現実社会での当事者たちの苦闘に他なりません。たしかに個々の論文をとってみると、論理的な記述や掘り下げた問題把握という点で、精粗はあったように思います。しかし基本的には、卒論作成という大きな課題に対して、苦しい就職活動の中でもゼミ生皆が真面目に取り組んでくれた、そのように考えています。そこでここでは、一年を通した卒論作業を締めくくる講評として、研究や考察に際して私が大事だと思うポイントを簡単に指摘しておきたいと思います。
一つには、資料を調べて、文献を読み進めて、卒業論文を書く。その際に無理矢理な政策提言などはしないということが、実は大事だと思います。習い性のように政策提言することには、無意識に「判ったふり」をしてしまう、そうした落とし穴があるように思います。判らないところや、理解できないことがあるのが、むしろ当たり前だと開き直って下さい。文献を読み重ねていくうちに、曖昧模糊として漠然とわからないという状態から、具体的な疑問が次々に湧いてくるようになる。それが、理解が進むということなのだと思います。卒論作成を終えてみて、自分の取り上げたテーマについて、具体的な疑問が幾つも頭に思い浮かぶようなら、それで卒業研究の目的は、果たされたということになるでしょう。
そして、いま一つには、論文の内容にかかわって、「批判的」な研究であって欲しい、そうした要望です。現代の雇用社会の住人である我々が、その雇用社会の一断面を取り上げ、現に存在するものを正面から受け止めようとするわけだから、そこでは必ず何らかの課題意識や問題意識が生まれてくるはずです。そうした現実に対して抱く緊張感を、論理的に整序して記述しようする姿勢が、論文にとっては大事なことだと思います。近年、語られなくなったマルクスの言葉を借用すれば、一方では現にあるものをその存在の根拠から「肯定的」に理解すると同時に、他方では現実が抱え込んだ困難や矛盾を考察する「否定的」な把握も必要です。そして、それが問題把握や理解の深さ、広さに繋がるのだと思います。
まずは「隗より始めよ」。どちらも自分に返ってきそうなコメントですが、論文執筆や考察の際の心がけだ、そのように考えて下さい。
キーワード1 成果主義
キーワード2 年功的要素
キーワード3 [人]基準
キーワード4 日本らしさ
キーワード5  
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