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学科 | 産業関係学科 |
年度 | 2016 |
ゼミ名 | 阿形 健司 |
タイトル | 限定正社員普及のための要件 |
内容 | 本稿では、限定正社員の普及のための要件を考察する。近年、正規雇用者と非正規雇用者という労働者に二極化された日本の労働市場が非常に問題になっている。正規雇用者、非正規雇用者ともに、少なからず働き方に問題を抱えているからである。それは、長時間労働やワークライフバランスの欠如、雇用保障の不安定さなどさまざまである。これらを解決するための手立てとして近年注目されているのが、限定正社員である。しかし、この限定正社員にも、普及に向けて課題が山積している。そこで、その課題の一つである限定正社員の雇用保障に着目する。特に、限定正社員には働き方の限定があるため、限定された働き方や仕事が必要なくなったときに解雇されやすいという特徴がある。雇用保障という課題について、考えられる解決策はどのようなものがあるだろうか。この問いに対し、特に職務限定正社員に焦点を当て、雇用保障という課題の解決策を外部労働市場の発達であると結論付けた。しかし、現在の日本において外部労働市場が発達しているとはいい難い。そこで、外部労働市場として、職務遂行能力による求人を基に機能している中途採用市場が発達することが、職務限定正社員を普及させるための要件になると結論付けた。 |
講評 | 2016年度の卒業論文について特筆すべきことは、一次資料を利用した人が多かったことと、採用した分析手法が多様であったことである。たいていの人が文献情報のみに基づいて卒論を書こうとするのに対して、ゼミ生16人のうち9人が何らかの形で聞き取り調査を行ったのは、おそらくゼミ始まって以来の実施率である。およそ16年間の学校教育の集大成として卒業論文という作品があるとすれば、著者固有の独自資料を手がかりに作品製作に携わったことは大いに評価できる。また、昨年度につづき、既存統計資料の二次分析に果敢に挑戦した人が現れたことも大いに評価したい。 とはいえ、一次資料を使って書いた卒論が全て論文として満足のいく水準に達しているかというと必ずしもそうとは言いきれない。長い時間をかけて質問項目を吟味し、念入りに調査設計を行った上で実施した調査と、準備不足のまま見切り発車で実施した調査とでは自ずと結果の品質が異なってこよう。せっかく調査をするのだから、事前の準備をしっかりと行い、悔いのない形で調査を実施できればよかったのにと、少し残念に思うところがある。 16人のうち7人は、文献情報に基づいて卒論を書いた。歴史研究、国際比較、将来予測、政策提言などテーマは多岐にわたっている。こちらも、丹念に証拠を集めて説得的に持論を展開したものから、主観的な願望が先行して根拠があいまいなまま自説を展開したものまで水準はさまざまである。結局のところ、一次資料を使おうが、文献二次資料を使おうが、どれだけ卒論執筆に真摯に向き合ったかということが作品の出来映えに表れている。執筆者各自は、自分の胸に手を当てて大いに反省してほしい。 これから卒論を書こうとする下級生にひとつアドバイスをするなら、学校教育の集大成たる卒論の執筆がうまくいくかどうかの半分ぐらいは、テーマ選択に依存していることを肝に銘じてほしいということだ。テーマ選択を誤るとどんなにがんばってもよい論文は書けない。それほどテーマ選択には時間をかける必要があるということである。もちろん、テーマを選ぶためには関連する先行研究を探索して吟味し、検討することが欠かせない。結局のところ、ちゃんと勉強すればよい論文が書けるけれども、勉強しないと満足のいく成果は得られないという、極めてありきたりな結論に至る。 |
キーワード1 | 限定正社員 |
キーワード2 | ジョブ型正社員 |
キーワード3 | 中途採用市場 |
キーワード4 | 労働移動 |
キーワード5 | |
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