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学科 産業関係学科
年度 2016
ゼミ名 阿形 健司
タイトル 大学・大学院における外国人留学生への就職支援の現状と課題について
内容 グローバル戦略を展開する一環として、2020年を目処に留学生受け入れ30万人を目指す「留学生30万人計画」が2008年に文部科学省ほか関係省庁によって発表され、国を挙げての外国人留学生の確保に取り組んでいる。その結果、高等教育機関に在籍する外国人留学生の数は、2015年に152,062人となり過去最高を記録している。一方で外国人留学生の卒業後の進路はどうなっているのだろうか。外国人留学生の約4割が日本での就職を希望しているが、卒業後に日本で就職をしている外国人留学生は、約2割である。留学生が増加しつつあるいま、外国人留学生への就職支援が必要不可欠である。そこで本稿では、大学・大学院の就職支援の現状と課題を各種データや先行研究、外国人留学生へのインタビュー調査から明らかにした。その結果、キャリアセンターの就職支援として外国人留学生を対象とした求人情報の不足が明らかになった。しかしながら学生数に占める外国人留学生の割合は低く、さらなる就職支援は難しいことが分かった。不十分な就職支援に対抗すべく、外国人留学生は大学の垣根を越えた就職活動に関する情報収集の実施をしていることや、学外での就職セミナーへ参加していることが分かった。この結果を受けて、大学・大学院における外国人留学生への就職支援のあり方を提案する。
講評 2016年度の卒業論文について特筆すべきことは、一次資料を利用した人が多かったことと、採用した分析手法が多様であったことである。たいていの人が文献情報のみに基づいて卒論を書こうとするのに対して、ゼミ生16人のうち9人が何らかの形で聞き取り調査を行ったのは、おそらくゼミ始まって以来の実施率である。およそ16年間の学校教育の集大成として卒業論文という作品があるとすれば、著者固有の独自資料を手がかりに作品製作に携わったことは大いに評価できる。また、昨年度につづき、既存統計資料の二次分析に果敢に挑戦した人が現れたことも大いに評価したい。
とはいえ、一次資料を使って書いた卒論が全て論文として満足のいく水準に達しているかというと必ずしもそうとは言いきれない。長い時間をかけて質問項目を吟味し、念入りに調査設計を行った上で実施した調査と、準備不足のまま見切り発車で実施した調査とでは自ずと結果の品質が異なってこよう。せっかく調査をするのだから、事前の準備をしっかりと行い、悔いのない形で調査を実施できればよかったのにと、少し残念に思うところがある。
16人のうち7人は、文献情報に基づいて卒論を書いた。歴史研究、国際比較、将来予測、政策提言などテーマは多岐にわたっている。こちらも、丹念に証拠を集めて説得的に持論を展開したものから、主観的な願望が先行して根拠があいまいなまま自説を展開したものまで水準はさまざまである。結局のところ、一次資料を使おうが、文献二次資料を使おうが、どれだけ卒論執筆に真摯に向き合ったかということが作品の出来映えに表れている。執筆者各自は、自分の胸に手を当てて大いに反省してほしい。
これから卒論を書こうとする下級生にひとつアドバイスをするなら、学校教育の集大成たる卒論の執筆がうまくいくかどうかの半分ぐらいは、テーマ選択に依存していることを肝に銘じてほしいということだ。テーマ選択を誤るとどんなにがんばってもよい論文は書けない。それほどテーマ選択には時間をかける必要があるということである。もちろん、テーマを選ぶためには関連する先行研究を探索して吟味し、検討することが欠かせない。結局のところ、ちゃんと勉強すればよい論文が書けるけれども、勉強しないと満足のいく成果は得られないという、極めてありきたりな結論に至る。
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