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学科 社会学科
年度 2016
ゼミ名 尾嶋 史章
タイトル 陰口をとおして築かれる人間関係-コミュニケーションツールとしての機能に着目して-
内容 私たちは日常的に他者と対面的コミュニケーションを行っている。その主な目的は、情報を共有・交換し伝え合うことであろう。しかし、そのようなコミュニケーションとは対照的に、一見すると何の意味も持たないように思われるコミュニケーションをしばしば見かける。その中でも筆者は、在席しない第三者についての語りである「陰口」の話題で盛り上がることに興味をもった。しかし、陰口はマイナスのイメージで言及されることが非常に多い。第三者や会話参加者たちとの関係性に悪影響を及ぼすため、言わないほうが良いとされているのである。
本当に陰口は人間関係に悪影響を及ぼすものなのであろうか。本論文では、第三者および会話参加者たちとの関係性に着目し、陰口の実態を明らかにしていく。そして、事例研究のためにインタビュー調査、会話分析をおこなった。その結果、やはり陰口には人間関係に悪影響を与える側面があった。しかしそれ以上に、価値観の答え合わせのプロセスにより、対人関係の形成・維持に役立つコミュニケーションツールとしての側面もたしかに示された。世間におけるイメージとは対照的に、私たちは陰口をとおして人間関係を築いているのかもしれない。
講評 陰口というコミュニケーションに注目して、ゴフマンの枠組みを援用しつつ考察し、「価値観の答え合わせ」としての人間関係の構築にこれが意義を持つことを明らかにした。面目-行為というゴフマンの枠組みを分析結果として否定しているが、より広い視野でみるならば成り立ちうるのではないか。こうした点まで含めて考察すれば、さらに論文としての完成度は高まるが、現状でも十分評価できる論文である。
キーワード1 陰口
キーワード2 第三者
キーワード3 会話参加者
キーワード4  
キーワード5  
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