詳細
学科 メディア学科
年度 2016
ゼミ名 竹内 幸絵
タイトル 「知らないのになつかしい」の解明 -メディアはいかにして未体験世代のなつかしさを形成するか-
内容 若者に聞きたい。昭和の雰囲気を残す商店街や昭和に流行した玩具を目にした際、当時を知らないのになつかしさを感じたことがないだろうか。実際に体験していない過去のもの・ことになつかしさを感じる要因として「メディアによるなつかしいイメージ付け」があることが明らかにされている。本論文ではそこから一歩踏み込み、メディアがどのような表現手法を用いてなつかしいイメージ形成をするのか検討する。昭和の産物である喫茶店が題材の雑誌4誌を比較分析した結果、メディアは若者に対し喫茶店をいかにも過去のものらしくかつ理想的なものとして演出すること、その際に情報のわかりやすさ・イメージのしやすさ・読者を未体験空間に入り込ませる装置が必要であると結論づけた。また一般的になつかしさと結びつけられる「人と人との繋がり」という要素は若者向けの雑誌ではほぼ見られなかった。若者にとっての人と人との繋がりはなつかしさ感情とは切り離されている可能性が高く、今後要検討である。
講評 「なつかしい」という感情や感覚への漠然とした興味を、整理してそぎ落としていき問題を設定する。それを自身で考えだした具体的な手法で論証していく。メディア学の卒論の手本ともいえる手法をとった論文である。「昭和」を知る世代向けの雑誌と、知らない世代向けの雑誌の表現比較が本論の醍醐味である。そこで得た知見は、それを知る世代向けにには、具体的な人と人とのつながりを強調されているが、知らない世代向けにはそれらの扱いは薄い、というものだ。知らない世代向けには過去のものとして理想的な演出がされ、情報は詳細ではなく、具体性のないイメージが描かかれる。雑誌比較から導いたこの結論は鮮やかで説得力がある。いつも美しい声で気持ちのいいプレゼンテーションを展開してくれた彼女の深い一面を見いだす大きな卒論に仕上がった。
キーワード1 メディアイメージ
キーワード2 歴史的ノスタルジア
キーワード3 喫茶店
キーワード4 直接体験の有無
キーワード5  
戻 る
Copyright (C) Doshisha University All Rights Reserved.