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学科 | メディア学科 |
年度 | 2016 |
ゼミ名 | 竹内 幸絵 |
タイトル | 『なぜ働かない人はダメなのか』 |
内容 | 「働かない人はダメ」という風潮は一体いつから誰によって社会に広くイメージ付けされてしまったのか。明治維新後から昭和初期にかけて発生した高等遊民は、その状況に至るまでに「入学難」「就職難」「生活難」のような要因があったために社会に不満を抱き、テロ行為など事件を起こす人が現れ、働かない人はダメというイメージに結びついた。しかし現代のニートの実態は、進学率、就労経験、いじめられた経験、出身家庭の経済状況などでニートでない若者との突出した差異はなく、高等遊民のように社会に不満を持って反社会的な思想を抱きやすいとは考えにくいため、その考え方は現代においては誤解である。しかし、ニート自身も大多数が仕事をしていないとうしろめたいと感じており 、これらの価値観の根幹となっているのはやはり、働くことは当たり前という強い社会的通念である。これは、不安症・心配性というような日本人の国民性が背景にある。 |
講評 | 彼女の研究の動機は、仕事をしない人(男子)が社会から認められない理由がどこにあるのか、というところにある。最終的にはタイトルに「ニート」という言葉は使わなかったが、まず基本情報として「ニート」の定義づけ(フリーター(定職に就かない)、パラサイトシングル(親の経済力に甘える)との区別)を行ったうえで「働かない人」でかつ社会的に認められていない人の現状把握をしていった。さらに明治以降の高等遊民(高学歴だが働かない)までをも調査し、「ニート」の史的な推移にまで興味を広げた。その上で、日本人の保守的な価値観がもたらした働かなければ未来がないという強迫観念が作り上げた 目的もなく働きすぎる、生産性もなく働き続けるという今日的な社会問題への提言へと発展していく。おりしも大手広告代理店での新入社員の過労自殺が社会問題となった年に、同世代から問題を提起する論文となった。 |
キーワード1 | ニート |
キーワード2 | 高等遊民 |
キーワード3 | 価値観 |
キーワード4 | 働くこと |
キーワード5 | 社会 |
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