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学科 社会福祉学科
年度 2017
ゼミ名 黒木 保博
タイトル 精神障害者の地域生活支援―エンパワメントと自己決定―
内容 精神障害者は、ストレス・情報化社会に伴い、年々増加している。この現状は、マスメディアによって国民に周知されているが、精神障害者への社会的スティグマは根強く存在する。「ノーマライゼーション」を謳う施策と国民の意識の間に生じるギャップは、当事者の地域生活に影響する。本論文のⅠではまず、筆者の社会福祉実習の経験に基づく研究動機や目的、概要を示す。Ⅱでは、精神障害者の現状を述べる。特に、精神科医療の問題点である、患者の長期入院及び地域生活移行の課題を挙げ、5節では論点の軸である、社会的スティグマ要因を分析する。Ⅲでは、Ⅱで示した課題を基に、精神障害者の地域生活移行へ向けて、PSWの役割と専門性、地域社会資源・サービスの必要性を示す。そしてⅣでは、今後の地域精神保健福祉のあり方を提言する。当事者自身の「リカバリー」に焦点を当て、地域生活を送る上での当事者活動を論じ、さらに、「就労」の観点から当事者の社会復帰について述べる。最後にⅤでは、筆者が執筆を終えての総括をする。
講評 卒業論文発表会では17人(1名が欠席)の発表終了後、TAのH氏(大学院博士前期課程生)からのコメント、また黒木からのコメントをした。このコメント内容を卒論講評とする。

1.専門演習クラスにおいては卒論作成の進捗状況を各自3回発表した。その卒論作成準備(具体的には文献収集、発表内容の検討、レジュメ作成&内容)状況、そして発表日内容を評価した。例年通り「卒論作成のための準備」は二極化した。準備に時間とエネルギーを費やしていく卒論作成への熱意、積極性に大きな差が出てきた。
2.今年の卒論では、着目点のユニークさ、面白さが見受けられた。着目点は各自の問題性、課題性が理解できた。今年度は約半数が高齢社会に関するテーマであったが、内容には各自の着目点(視点)が出ていた。
3.毎年指摘しているが、早くからコツコツと時間をかけ、取り組んでいる卒論がある。これは読んでみればすぐに理解できる。章立てや内容展開等の構成力もしっかりとしており、読み応えがあるものであった。
4.卒論作成にあたっては、毎年のことであるが、実習体験、当事者性、見学での参与観察、インタビュー調査等を基礎にすることを奨励している。これを出発点とした卒論は執筆者の思いがよく伝わってきた。しかし、現場・現地にも行かずWEBや参考文献情報を駆使して、わかった(つもり)で書かれた論文内容には当然に「格差」があった。
5.つまり、卒論作成のねらいをよく理解して、自分に厳しく、自分を鼓舞して卒論作成に取り組んだ人がいる。一方では、できるだけ自分との戦いを避け、後回しにして「小手先」で書きあげた卒論もある。しかし、自ずと内容に違いが出てきていると判断できる。
6.卒論作成にあたって、ゼミ生に要求したことがある。卒論内容に「4年間学んだ社会福祉とは何か?の解答を書き込むこと」である。大学生活の集大成である卒業論文の作成・提出のプロセスで学んだことを、ぜひこれからの人生で生かしてほしい。

最後に、ゼミ生に文献指導や作成助言をしてくれたTAのH氏に感謝したい。
キーワード1 エンパワメント
キーワード2 リカバリー
キーワード3 精神保健福祉
キーワード4 スティグマ
キーワード5 精神科医療
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