詳細
学科 社会福祉学科
年度 2017
ゼミ名 Martha MENSENDIEK
タイトル 社会的養護の児童にとっての“共生”を目指すソーシャルワーク―当事者から見た小学校という“場”のもつ意味―
内容 日本では社会的養護の児童が約4万5千人いる(厚生労働省2017)。彼らは虐待等の負の経験から、生活の場である家庭という身近な共生の場を失う経験をしている。そして代わりとなる児童養護施設等の生活の場も、必ずしも家庭としての機能を果たしきれていない現状にある。そのため一般家庭の児童よりも、「学校」という場が重要な生活の場とならざるを得ない。ところがその学校においてすら、共生を目指すことに課題を抱えている。社会的養護の児童であるからこそ共生することに困難を覚える現状がある。社会的養護として育った女性(19)に行った質的調査(2018年5月29日)を考察する中で、小学校の道徳の時間での「家族」の教え方、とりわけ家族の形の多様性が意識されず、「家族愛」を受けることや家族が原点であることが前提である『私たちの道徳』という教材に疑問を抱いた。現在の道徳教育において「家族」をどのように教えているのかを明らかにし、社会的養護の児童にとって小学校で共生できるための支援の在り方をスクールソーシャルワークに着目して研究する。
講評 社会的養護を必要な子どもたちに焦点をあて、当事者にとっての共生と学校教育、スクールソーシャルワーカーの役割について考察した。綿密な文献研究、質的調査(ライフヒストリー)、そして理論を用いた考察を行い、優れた論文を仕上げた。学校においての道徳教育は「家族」を教えることで、当事者にとってはトラウマとなるという分析は鋭く、大変重要な点を指摘した。また、「共生」を目指す上で、ソーシャルワーカーの役割が重要であるという結論に納得させられた。木原さんは今後大学院でも「共生」という視点から研究を深め、こういった子どもたちの支援と、ソーシャルワークの分野への貢献を期待している。
キーワード1 共生
キーワード2 社会的養護
キーワード3 サバルタン
キーワード4 道徳教育
キーワード5 スクールソーシャルワーク
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