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学科 | 社会学科 |
年度 | 2017 |
ゼミ名 | MILOS DEBNAR |
タイトル | 「絵画の好み」への社会学的考察―現代日本の大学生世代に見られた「卓越化」― |
内容 | 人が絵画作品を見て「美しい」「好みだ」と感じることに社会性は存在するのか。フランスの社会学者ピエール・ブルデューはこの疑問に対し、人間の趣味選好を決定するのは自己を他者と区別し際立たせる「卓越化」という無意識の中の意識による働きであり、自身の趣味を肯定するために他の階級の趣味を嫌悪すると述べた。しかし彼の理論はフランス社会に則しており、日本社会の一世代を切り取っても見受けられるのか疑問である。これら問題点をふまえ、本論文では日本の大学生を対象に量的調査を実施し、様々な変数と絵画16作品との関係を分析した。その結果、偏差値の高い人はルノワール作品を好むことや、絵画への親しみが深い人ほどラッセン作品を好まずゴッホ作品を好むといったような、学歴資本や芸術への親しみと趣味選好には相関関係が見られた。そしてまた、絵画作品同士にも反発し合うような相関関係が見られたことから、日本の大学生というほんの一世代においても「卓越化」の原理は存在しており、趣味の決定において重要な要因となることがわかった。 |
講評 | 今年度の卒業論文は多彩なテーマを取り扱いながらも、社会学的な観点から分析を行った。移民全般と観光関係の論文は一番多く、ハーフのイメージや外国人に対する態度、または沖縄のダークツーリズムやゲストハウスのテーマを社会学的な観点から分析した論文が半分近くあった。それ以外の論文は、食事の習慣、洋画の趣味、音楽、アイデンティティやジェンダーについて論じた。また、研究の方法に関しては、インタビュー調査、参与観察と質問紙調査と様々であった。テーマはまだ多彩でありながらも、昨年より観光と移民関係により集中した。 多数の論文では演習または講義で取り上げられているブルデュー、バウマンやギデンズ等の社会学理論、それぞれの分野の理論と概念、および調査方法が適切に応用されていたことが喜ばしい結果である。その一方で、多数の論文では特に問題設定などにおいて改善の余地があり、社会学と調査法のより深い理解が望ましい箇所・論文もあった。 |
キーワード1 | 趣味選好 |
キーワード2 | 文化的正統性 |
キーワード3 | 卓越化 |
キーワード4 | |
キーワード5 | |
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