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学科 社会学科
年度 2017
ゼミ名 MILOS DEBNAR
タイトル 自己投資によるアイデンティティの構築
内容 1980年代に変化し始めた日本の人々の「豊かさ」の概念に着目し、「現代人は物を求めなくなった現在、消費という手段は変わらずとも、自身の経験を積むことやスキルを習得することで自身の存在を確立させているのではないか」と問題を提起した。1980年代以降の現代人の「心の豊かさ」を求める声の要因は、経済的発展による物質的な消費財の普及と、近代化による「自由な個人」として「どう生きるか」の問いを個々人がテーマにし、自身の人生・アイデンティティを構築し始めたことにある様だ。近代以降、産業化に伴う職業形態の変化によって、人々のアイデンティティとなっていた中間集団の力が弱体化したことで、個人は社会に解放された一方で、アイデンティティを自力で構築しなければならなくなった。「個人化」、「リキッド・モダン」、「マルチステージ」の社会において、私たち現代人がより「豊か」に生きていくためには、「変身」し続けるほかない。その様な社会において現代人は「設計事務所」という主体の在り方を持ち、自身の人生の選択や形成を積極的に行うこと、「サーファー」として自我を中心に持ち、人生の中の変化としての“波”を自身の人生に対して有意味なものとして捉える生き方をすることで、人生の中に可能性を広げることが可能である。そして、その絶え間ない変化の中で自身がどう人生選択をし、経験し、自己を作り上げたのかという「自己語り」において、自身の人生のストーリーを創り上げることで、自身の人生の主人公になることも可能である。
講評 今年度の卒業論文は多彩なテーマを取り扱いながらも、社会学的な観点から分析を行った。移民全般と観光関係の論文は一番多く、ハーフのイメージや外国人に対する態度、または沖縄のダークツーリズムやゲストハウスのテーマを社会学的な観点から分析した論文が半分近くあった。それ以外の論文は、食事の習慣、洋画の趣味、音楽、アイデンティティやジェンダーについて論じた。また、研究の方法に関しては、インタビュー調査、参与観察と質問紙調査と様々であった。テーマはまだ多彩でありながらも、昨年より観光と移民関係により集中した。
多数の論文では演習または講義で取り上げられているブルデュー、バウマンやギデンズ等の社会学理論、それぞれの分野の理論と概念、および調査方法が適切に応用されていたことが喜ばしい結果である。その一方で、多数の論文では特に問題設定などにおいて改善の余地があり、社会学と調査法のより深い理解が望ましい箇所・論文もあった。
キーワード1 個人化
キーワード2 アイデンティティ
キーワード3 豊かさ
キーワード4  
キーワード5  
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