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学科 | 産業関係学科 |
年度 | 2017 |
ゼミ名 | 表 弘一郎 |
タイトル | デジタル・ネイティブ世代の自己愛傾向~SNS利用時の行動に着目して~ |
内容 | 近年、SNSが急速に普及し、人々の生活に深く根付いている。SNSは高い利便性を持つ一方で「SNS疲れ」と呼ばれているような現実の人間関係との板挟みや、SNS上でのコミュニケーションにストレスを感じる人も増えている。また、この傾向は若者に多く見られると明らかにされ、他者から認められたいという自己愛が働いている可能性も指摘された。そこで本論文では、大学生の利用頻度の高いTwitter利用時の具体的な行動に着目し、利用時の行動が自己愛の傾向とどのように関連しているか調査研究を行った。先行研究で使用された尺度を用いてアンケート調査を行い、数値に応じて「過敏型群」、「評価懸念群」、「誇大型群」、「自己愛低群」へとサンプルを分類した後に分散分析を行った。その結果、「一般的積極利用」、「自己アピール」、「敏感即応」、「身体賞賛」の4項目において有意な結果が得られ、SNS上での行動決定に自己愛が働いていることが分かった。その中で「他者の反応を無視し、誇大性を表に表現する自己顕示的」な誇大型群の人々が「SNS上での他者からの反応を常に気にして即時に反応を返そうとする衝動による行動群」の敏感即応にて高い数値を示すという新たな知見が得られた。 |
講評 | 2017年度の卒業論文では、9人のうち8人が一次資料を参照し、統計分析まで行なった方がいた点を高く評価したいと思います。聞き取り調査を行なった方のなかには、仮説の検証だけでなく、調査以前の思い込みの是正や思いがけない事実の発見、視野の拡がりなどを経験された方が複数おられ、学問上の意義が明確に読み取れると同時に、「現実」に対する執筆者の眼差しの変化をも感じ取ることができます。調査に際して、質問項目を十分に練り上げずに調査に臨んだ方もいましたが、調査を進めるなかで事柄の認識を新たにされた点は評価できます。 一貫性については、各章節の有機的な結合に若干の問題を抱える論文もあります。また、資料の適切な利用という点での客観性や形式性にやや問題を抱えている論文もありますが、総じて、数多くの文献を活用し、多様な観点から問題の考究を進めた論文が多数を占めた印象を抱いています。独創的で魅力的なテーマ設定をされた論文が多かった点も特筆すべきところですが、何より、魅力的ではあるものの検証が困難かと思われた仮説を慎重かつ真摯に追究された執筆者の皆さんの姿勢を最大限に高く評価したいと思います。 論文の魅力は、ほぼテーマ設定にかかっていると言っても過言ではありません。皆さんの論文テーマは多岐に渡りますが、その多様さが社会の現在の有り様と変容の可能性を如実に映し出しているように思います。 |
キーワード1 | デジタル・ネイティブ |
キーワード2 | 自己愛 |
キーワード3 | SNS |
キーワード4 | 過敏特性 |
キーワード5 | 誇大特性 |
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