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学科 産業関係学科
年度 2017
ゼミ名 表 弘一郎
タイトル 感情労働とメンタルヘルス
内容 近年、日本の労働者は過剰な感情労働に駆り立てられ、心が追い込まれてしまっている。接客や公共の場、対人援助の場などで働く者は、お客に対して一方的な奉仕を強いられるようになり、多くの労働者の心は爆発寸前の状況だ。感情労働によるストレスで、心の不調を訴える労働者や問題行動を起こす労働者は少なくない。つまり、人間相手の職業に就く者の忍耐は限界に達しており、その背景には労働者の心を追い込む時代状況があるのである。本稿では、そのような現在の日本社会で生きる労働者について、感情労働の仕組みやその労働によって生じるストレスについて検討した。その結果、感情労働により自らの感情を抑制することは大きなストレスに繋がる行為であり、労働者の精神を疲弊させていくことが分かった。代表的なストレス症状にはバーンアウトがあり、その対処法については、「突き放した関心」・「リフレーミング」という2種類の手段をとり上げた。現代社会を生きる者にとって、感情労働を避けて通ることは難しい。よって、自分に合ったストレス解消の手段を身につけ、ストレスと上手く向き合いながら働くことが必須である。
講評 2017年度の卒業論文では、9人のうち8人が一次資料を参照し、統計分析まで行なった方がいた点を高く評価したいと思います。聞き取り調査を行なった方のなかには、仮説の検証だけでなく、調査以前の思い込みの是正や思いがけない事実の発見、視野の拡がりなどを経験された方が複数おられ、学問上の意義が明確に読み取れると同時に、「現実」に対する執筆者の眼差しの変化をも感じ取ることができます。調査に際して、質問項目を十分に練り上げずに調査に臨んだ方もいましたが、調査を進めるなかで事柄の認識を新たにされた点は評価できます。
一貫性については、各章節の有機的な結合に若干の問題を抱える論文もあります。また、資料の適切な利用という点での客観性や形式性にやや問題を抱えている論文もありますが、総じて、数多くの文献を活用し、多様な観点から問題の考究を進めた論文が多数を占めた印象を抱いています。独創的で魅力的なテーマ設定をされた論文が多かった点も特筆すべきところですが、何より、魅力的ではあるものの検証が困難かと思われた仮説を慎重かつ真摯に追究された執筆者の皆さんの姿勢を最大限に高く評価したいと思います。
論文の魅力は、ほぼテーマ設定にかかっていると言っても過言ではありません。皆さんの論文テーマは多岐に渡りますが、その多様さが社会の現在の有り様と変容の可能性を如実に映し出しているように思います。
キーワード1 感情労働
キーワード2 ホックシールド
キーワード3 ストレス
キーワード4 バーンアウト
キーワード5  
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