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学科 産業関係学科
年度 2017
ゼミ名 表 弘一郎
タイトル 外国人労働者の受け入れへの現状と障壁
内容 本論文では、近年の生産労働人口の減少や少子高齢化を受けての外国人労働者の受け入れの現状とそれに伴う懸念点や障壁について検討することを目的とする。法務省による「出入国管理基本計画」からの外国人労働者の受け入れに対する積極的な姿勢や自動車部品工場における外国人労働者の実態について評価した上で、外国人の労働力を採用している宿泊施設にヒアリング調査を行った。
ヒアリング調査の結果、採用や制度・方針から労働者の生活環境に至るまでの確固たる整備を行い、職務内容の細分化、および体系化させることにより、労使双方が働きやすい環境を創出することが可能であることが明らかとなった。
今後、生産人口の減少に伴い、外国人労働者のニーズは増幅すると考えられるが、直近の人手不足に対応するために、急造の就労環境で受け入れを行うと労使関係での齟齬が生じ、文化的摩擦や経済の二重構造化などの弊害を多く被る結果を招いてしまう可能性があるため、受け入れによる産業構造の影響や受け入れに伴う環境整備、治安などの幅広い熟考を踏まえた上で慎重に検討していく必要がある。
講評 2017年度の卒業論文では、9人のうち8人が一次資料を参照し、統計分析まで行なった方がいた点を高く評価したいと思います。聞き取り調査を行なった方のなかには、仮説の検証だけでなく、調査以前の思い込みの是正や思いがけない事実の発見、視野の拡がりなどを経験された方が複数おられ、学問上の意義が明確に読み取れると同時に、「現実」に対する執筆者の眼差しの変化をも感じ取ることができます。調査に際して、質問項目を十分に練り上げずに調査に臨んだ方もいましたが、調査を進めるなかで事柄の認識を新たにされた点は評価できます。
一貫性については、各章節の有機的な結合に若干の問題を抱える論文もあります。また、資料の適切な利用という点での客観性や形式性にやや問題を抱えている論文もありますが、総じて、数多くの文献を活用し、多様な観点から問題の考究を進めた論文が多数を占めた印象を抱いています。独創的で魅力的なテーマ設定をされた論文が多かった点も特筆すべきところですが、何より、魅力的ではあるものの検証が困難かと思われた仮説を慎重かつ真摯に追究された執筆者の皆さんの姿勢を最大限に高く評価したいと思います。
論文の魅力は、ほぼテーマ設定にかかっていると言っても過言ではありません。皆さんの論文テーマは多岐に渡りますが、その多様さが社会の現在の有り様と変容の可能性を如実に映し出しているように思います。
キーワード1 技能実習制度
キーワード2 出入国管理基本計画
キーワード3 文化的摩擦
キーワード4 経済の二重構造化
キーワード5  
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