詳細 | |
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学科 | 産業関係学科 |
年度 | 2017 |
ゼミ名 | 石田 光男 |
タイトル | 21世紀の新しい働き方-多様な人材活用を目指して働き方改革の方向性を考える- |
内容 | 本稿の目的は、働き方改革の方向性について考察することにある。その際注目するのは、活用余地のある人々に共通する働き方のニーズと、それを制度に反映させ定着させるために必要な仕組みである。 仕組みの検討には2企業の制度改革事例を用いる。そこから、人々のニーズに合った労働の切り出しと提供が必要であり、それによって生まれた多様な働き方が秩序を持って共存するには仕事基準の共通の評価尺度(同一労働同一賃金)と適度な処遇差が設けられるべきという見方を示す。 そして働き方改革の方向性として、同一労働同一賃金の原則に基づく正社員登用制度と限定社員・正社員相互転換制度を導入し、多様な労働者の積極的受け入れを行うことで、彼らの存在によって多様な働き方を認め合う空気の醸成が自然と促され、経営の働きかけだけでなく現場から生じる意識改革によって改めて制度改善がなされ、さらなる多様な人材活用が可能になるという好循環を目指す提言を行う。 |
講評 | 1.全体の講評。 卒業論文は一人一人の言葉の正しい意味での自己紹介だと思う。「わたしはこういう人間です」「これ以上でもこれ以下でもありません、私という人間は」ということをどうしても表現することになってしまうのが言葉の本性だからである。言葉遣いの現在の到達点、それが各人の卒業論文である。 そこからが君たちの出発である。 いくつかのコメントをしたい。 第一、参考文献からの引用は丁寧にということを強調した。私は正直な論文が好きだ。だから他者からの引用と自分自身の言葉とを仕分けする作業は正直な自分になる作業である。その結果、みすぼらしい自分の発見に行き着くことが多いとは言え、かすかな輝やきをたたえている自分もそこにはかならずいるはずだ。その輝きを火種にこの人生を歩むのだ。 第二、実証的な研究であれ、文献研究であれ、自分を横に置いた論文はよくない。直ぐに反論があろう。実証研究であれば、事実に虚心に向かえば向かうほど自分などを出しようがないではないか、文献研究であれば文献の論旨を正しく追えば追うほど自分などを出しようがないではないかと。しかし、無限な事実の中からどんな事実が重要だと観るかに自分が現れるのだし、文献研究であればマル写しでない以上、自分の読み方が現れるのだ。その自分の現れ方、あるいは表し方が自分の個性であり、その説得力が自分の力量なのだ。そもそも自分を隠し続ける勉強などは面白くもないはずだ。勉強は打算でやるのではなくて面白いからやるのだ、ということをわかって卒業して欲しい。 第三、研究(勉強)と社会での仕事の関係。研究(勉強)は卒業でお終い、4月からは仕事という別世界だという理解は浅はかである。仕事を始めてみて本当の勉強が始まったと先輩たちは言う。実は地続きなのだ。全く二つの世界が別物であれば、いいですか、大学での勉強は無用だということになる。その気配が濃厚に漂っているのが現代日本ではあるけれど。仕事には実践が伴うが、勉強には認識という脳細胞の活動はあっても実践が伴わないという区分が先の言明の根拠になっているが、認識と実践とはさほど機械的に区分できない。「こう考える」、だからこうしてみようというように地続きになっている。 偽りのない自分の到達点としての卒業論文を直視して、そこから自らの研鑽を積み上げていって欲しい。 2.個別の論文で評価すべき論文について 「日本の音楽産業における産業構造の記述と考察」は問題を追い詰めていく態度がよい。ただし、読者を連れて追い詰めるには、語彙、の正しい説明が必要になる。その点をもっと図式的に整理する必要がある。産業組織論という分野の中で考究する必要を感じた。 「日本労使関係史の制度分析」は野心的な論文である。制度の科学性ということに抽象的にこだわったために、史実を整理する概念構成が制度の概念構成と一致せず、わかりにくい論文となっているが、野心を買いたい。科学性vs物語性、青木昌彦vs西部邁の分岐点に関わるが問題に取り組んだ。 「『21世紀の不平等』から読み解く所得不平等格差」は大きな課題に取り組んでいる正直なよい論文である。著者の提案について納得できない点を正直に書いている点がよい。 「21世紀の新しい働き方」は多様な働き方についてのバランスの取れた考察となっている点で評価できる論文である。同一労働同一賃金の原則に基づく、若手正社員と非正規との接合の合理性の指摘は特に説得的である。 |
キーワード1 | 働き方改革 |
キーワード2 | 多様な人材活用 |
キーワード3 | 同一労働同一賃金 |
キーワード4 | 正社員登用制度 |
キーワード5 | 限定社員 |
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