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学科 | 社会学科 |
年度 | 2017 |
ゼミ名 | 藤本 昌代 |
タイトル | 熊本地震における被災地出身の「非被災者」 |
内容 | 日本は世界有数の災害大国であり、2016年の熊本地震も記憶に新しい。本論文では、災害研究の中でもこれまで注目されてこなかった「被災地出身の非被災者」という立場に着目し、とりまく環境や意識、震災による影響などを明らかにすることを目的とする。熊本地震を例に、対象者10名へのインタビュー調査を行った。結果として、純粋に出身地で災害が起こったことへの悲しみ・辛さだけではなく、被災者、熊本には縁のない第三者、そして同じ立場の被災地出身の非被災者といった、他者との相互行為の中で社会的孤立感や罪悪感などが生まれ、辛さやストレスを抱えていることが分かった。また、被災地とその時の居住地との物理的距離や、震災後すぐに熊本に帰ったかどうかやボランティア活動への参加などという行動の差によって、同じ出身者という立場の中でも差が生まれ、社会的孤立感や自分の行動への後悔を感じるかどうかの差に繋がっているということが分かった。 |
講評 | 本論文は震災による被災者の中に「非被災の被災地出身者」という存在を明らかにし、新しい知見を提出したものである。熊本地震の被災者、遠方に住んでいたため非被災だった熊本県出身者への聞き取り調査を行い、被災地の人々から「被災していないという心的排除」を経験し、支援者からの励ましに被災地出身ながら「被災していない後ろめたさ」を感じ、被災地の家族、友人に寄り添いたくても寄り添えない人々の心情、アイデンティティの形成困難さが描かれた秀作である。 |
キーワード1 | 被災地出身者 |
キーワード2 | 社会的孤立 |
キーワード3 | 熊本地震 |
キーワード4 | |
キーワード5 | |
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