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学科 | 社会学科 |
年度 | 2017 |
ゼミ名 | 藤本 昌代 |
タイトル | 京都漬物産業における衛生と伝統文化のせめぎあい |
内容 | 2020年の東京オリンピック開催に向け、2013年に世界遺産に登録された和食は、今後ますます国内和食市場の拡大や海外での需要の高まりが予想される。それに伴い、国は2020年までに国際的な衛生基準であるHACCP取得を食品業界に義務づけようとしている。本論文では、他の伝統食品産業と異なりHACCP取得が難しいとされる漬物産業に注目した。衛生と伝統文化のせめぎあいの実態について京都市漬物業者にインタビュー調査を行い、衛生管理への取り組み、伝統に対する意識を明らかにした。先行研究では、伝統とは「職人によって手作業でしきたりを守ること」であったが、それとは異なる伝統概念も存在し、伝統に対する価値観は企業規模によって異なることが分かった。その背景にある最も大きな要因は「対象とする市場が違うこと」だと考えられる。漬物業界全体が衛生基準とせめぎあっていると仮定していたが、今回の調査を通して、実際に衛生とせめぎあい、苦しんでいるのは、資金や規模的に弱い立場にある中小企業の人々であることが分かった。2020年に予定通りHACCPが義務化すれば、京都の文化や街並みが壊れてしまうかもしれない。 |
講評 | 本論文は京都の伝統食品加工業である漬物産業について代表的な大手企業から小規模で自身の製法を維持する小企業まで、多様な立場の製造業者の経営者に聞き取り調査を行ったものである。京都の伝統産業の中で後発であった漬物産業が現在の代表的な土産物として成長するに至った経緯、同業界が伝統的な作り方でのコスト及び衛生面での問題に直面している点を示し、特に衛生管理のためにHACCPという世界基準に合わすことが政策的に決定され、桶など木片が混入する可能性があるものを使うことができなくなるという伝統と衛生の間に揺れる業界の苦難と工夫について描いている意欲作である。 |
キーワード1 | 漬物 |
キーワード2 | 食品衛生 |
キーワード3 | 伝統 |
キーワード4 | |
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