詳細 | |
---|---|
学科 | メディア学科 |
年度 | 2017 |
ゼミ名 | 竹内 幸絵 |
タイトル | なぜ大河ドラマ『龍馬伝』は若者からの支持を得たのか |
内容 | 大河ドラマ『龍馬伝』が若者から支持を得た秘密を、特殊な映像表現と若者の好む感性、この2つをもとに紐解いた。映像表現としては、カメラの種類・カメラワーク・役作り・音・照明・龍馬伝的リアリティーという主に6つの特徴が存在し、これらは視聴者に対して【ライブ感:視聴者がまるでその映像の世界にいるように感じる効果】と【現実感:視聴者がその映像の世界に違和感なく共感する効果】を生み出していることが明らかになった。そして、これらの効果は、若者の【体験:若者の「SNSにおいてエモい体験を求める傾向」】と【共感:若者が「着飾りすぎない等身大のリアルに共感すること」】という2つの感性に、それぞれ響いたと考えられる。この【体験】と【共感】は、フェスの動員数増加や写ルンですブーム、等身大を歌うバンドの人気など、その他にも事例が多く存在する。それゆえ、『龍馬伝』は、若者から支持を得ることに成功したのである。 |
講評 | 執筆者は卒論発表会で語った言葉で印象的だったのは「好きから入ったことで苦労した。」という一言だった。放映から8年以上を経た今も大河ドラマ「龍馬伝」は自身の中でベストドラマであるという。それはなぜなのか。また当ドラマは自分だけでなく多くの若者が支持したとされる。その理由はどこにあるのか。この疑問をドラマの映像表現分析から検証する卒論を設定した。しかしまず自身の「好き」というバイアスの排除に苦労した。そしてその突破口を、「龍馬伝」以前の大河ドラマの生活感を感じにくい美しさと、「龍馬伝」で創られたグロテスクなケガや汚れた表現、それまで映画にはあったがテレビドラマでは避けられていた「美しくはない表現」との比較に求めた。 演出を手掛けた大友啓史氏の雑誌やWebでの発言も調査し、彼女の導いた結論は、「龍馬伝」には今日の若者が期待する二大感性体験、すなわち「エモーショナルな体験」と、「着飾らない、等身大の現実感」があった、というものである。私は彼女の卒論は、映画とテレビドラマという“似て非なるもの”を、Webを駆使する若者世代にむけて今後どう捉えなおすべきなのか、という問題提起であったと感じている。自身も民放テレビ局に就職する彼女のこれからに本論文での考察が活きることを期待したい。 |
キーワード1 | 大友啓史監督 |
キーワード2 | ライブ感 |
キーワード3 | 現実感 |
キーワード4 | 体験的感性 |
キーワード5 | 共感的感性 |
戻 る |