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学科 社会学科
年度 2018
ゼミ名 板垣 竜太
タイトル 転勤族の故郷観―再構築されるふるさと―
内容 本稿では、転勤族の故郷観をインタビュー調査を用いて明らかにしようと試みた。現代の故郷観には地域を扱ったテレビ番組の存在が特に大きいと考え、故郷形成の要素として調査の主眼に置いた。転勤族の故郷観を形成するものは、転居数や居住期間ではなく、愛着、ルーツ、帰属意識の3つであった。この3つの条件が同一地域に全てそろったときに、故郷をはっきりと意識することができる。この中で、ルーツに関する意識には世代差が見られた。20代のインフォーマントはルーツがあるかどうかは故郷形成の中でそれほど重要視していないが、50代、60代のインフォーマントはルーツの有無が故郷形成で重要な位置を占めている。また、帰属意識は、周囲の人との関わりやテレビ番組の視聴によって形成されることが分かった。テレビ番組の中では独自の地域イメージが作られている。その地域イメージによってよりある土地に魅力を感じ、自分の帰属する場所として誇りを持つ場合と、どの地域イメージにもなじめず、帰属意識をもてない場合があることがわかった。
講評 いわゆる「転勤族」であっても「故郷」をもっていると感じている人もいれば感じない人もいる。どのような条件が「故郷」観を構築させるのかについて、主としてインタビューをもとに明らかにしようとした研究である。研究の視点や話の筋がなかなか定まらず、その結果、テレビ分析とインタビューとがうまく組み合わさっていないなど、論旨の一貫性において不足感があるのは否めない。しかし、「転勤族」のインタビュイーを探し出すだけでも大変であることを考慮すれば、異なる転勤経験をもった異なる世代の人々の故郷観を分析し、「故郷」認識をもつ人々の諸条件について仮説らしきものを提示するところまでたどり着いたことは評価すべきであろう。
キーワード1 故郷
キーワード2 転勤族
キーワード3 地方イメージ
キーワード4 テレビ番組
キーワード5  
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