詳細 | |
---|---|
学科 | 社会学科 |
年度 | 2018 |
ゼミ名 | 藤本 昌代 |
タイトル | ジャンボタニシのジレンマ――潜在的機能が及ぼす将来の危険性―― |
内容 | 近年、「環境に配慮した農産物」に対し、消費者の購買ニーズが増加しており「無農薬」や「オーガニック」は消費者のニーズに応えているということができる。その中の1つが「ジャンボタニシ農法」である。しかしこの農法は一見すると顕在化しない問題を抱えていると考えられる。本稿ではこの「ジャンボタニシ農法」と自然環境保護の視点の矛盾の中に生じているジレンマについて検討していき、「逆機能」の改善に向けてこれらのことが農業関連従事者の意思決定の中でどのようにして生じるのか、そのメカニズムを解明していくことを目的とする。調査の結果から、意思決定の要素は、主に「経済面、継続性」「身体」「自然環境」の3種類であり、これらの優先順位が、農業関連従事者それぞれが直面する問題によって動的に変動するというメカニズムが見えてきた。科学的に技術的に考えるのみに留まることのない問題が「ジャンボタニシのジレンマ」なのである。 |
講評 | 本稿は有機農法と自然環境保護の矛盾を社会問題としてとらえ、壮大な問題に取り組んだ意欲作である。筆者は有機農法として流行したジャンボタニシ農法は、在来種の生態系を壊す自然破壊につながると指摘し、その要因を探る調査をしている。その結果、食用として経済的利益を得るために不用意に輸入されたジャンボタニシが利益を生まなかったことからずさんな管理により、自然界に放逐されたこと、ジャンボタニシが雑草駆除に役立つことを発見した人々が「有機農法」という美辞麗句と連動させ「ジャンボタニシ農法」を推進したこと、農業界全体の低迷による経済的理由による農薬利用、ジャンボタニシ利用などを行わざるをえない農業継続のための苦肉の策という事情を見出した。これらのことから、筆者は有機農法と自然環境保護の矛盾が起こる要因について経済的、構造的、制度的要因を析出している。 |
キーワード1 | ジャンボタニシ |
キーワード2 | 化学農薬 |
キーワード3 | ジレンマ |
キーワード4 | |
キーワード5 | |
戻 る |