詳細 | |
---|---|
学科 | 社会学科 |
年度 | 2018 |
ゼミ名 | 藤本 昌代 |
タイトル | トラックドライバーの過重労働とその要因 |
内容 | 過重労働の問題は、現代の日本の産業・労働の課題である。そして「運輸業」、中でも「自動車運転従事者」は他業種・職種に比べて過酷な労働環境に置かれている。本論文は、トラックドライバーの就労を分析し、過重労働問題を発生させている要因を明らかにすることを目的とし、対象者6名にインタビュー調査を行った。 本論文では、トラックドライバーの過重労働の要因を構造的要因と制度的要因の2つに分けて考察した。構造的要因としてはドライバーおよび運送会社と、クライアントとの間の一方的な上下関係が、過重労働の要因になっていることがわかった。 他方、制度的要因としてはトラックドライバーの特殊な賃金体系と、1990年に行われたトラック運送業に関する大幅な規制緩和の影響が挙げられる。規制緩和によって運送会社が急増し、1社あたりが持つ地位が低下したことで、相対的にクライアントが持つ力が強くなったと考えられる。この点では、国が貨物自動車運送事業の健全な発達を図ることを目的として行った規制緩和が、結果的にトラックドライバーの過重労働という負の結果を招く1つの要因になったといえる。 |
講評 | 本稿は過重労働として社会問題化されているトラックドライバーの働き方に焦点を当てたものである。長時間労働するドライバーがほとんどであるため、インフォーマントを獲得することが難しい中、JILPTの調査データ、総務省のデータおよびインタビューデータを駆使して、構造的要因、制度的要因を突き止めている。構造的要因として、近距離・大都市圏・過重労働が少ないのは大企業に勤めるドライバーであり、遠距離・残業をしなければ収入が厳しいのは中小零細に勤めるドライバーであった。中小企業の運送会社が過当競争する要因として、開業における規制緩和により大量の零細運送会社が発生したことによることも突き止めている。さらにクライアント・ドライバー関係において、クライアントがドライバーを待たせる時間や圧力的態度を取ることでドライバーのストレスが高まっていることも明らかになった。本稿は論文の構成、文章も読みやすく書けており、また実態把握が難しい業界に挑戦した秀作といえよう。 |
キーワード1 | トラックドライバー |
キーワード2 | 過重労働 |
キーワード3 | 規制緩和 |
キーワード4 | |
キーワード5 | |
戻 る |