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学科 社会学科
年度 2018
ゼミ名 藤本 昌代
タイトル 「マツリ」を通した地域コミュニティの形成―伏見 御香宮神幸祭の事例より―
内容  京都府伏見区に位置する御香宮神社では、約1000年以上前から受け継がれてきた伝統を持つ神幸祭が毎年営まれている。大阪、京都の都市部近郊にあるという地理的条件を生かし、伏見は古くは交通の要所として、戦後はベッドタウンとして発展してきた。人の流動性が高く、アクターの入れ替わりが多く見られるこの地域では、増加する新規住民と地元住民との関係づくり、コミュニティの再構築が問題視されている。
 本論文では、流動性の高い伏見という地域において神幸祭が途切れず継続されている理由を探る。またこうした地域における祭礼が新旧住民間のコミュニティ形成に与える影響などを明らかにする。調査は伏見、向島地区の新旧住民7名へ半構造化インタビューを行った。
 結果として、この地域では新規住民を神幸祭という目標を持った町内組織に次々と取り込むことで、新旧住民間の壁を取り払い、コミュニティの範囲を広げていることが分かった。また、本来内向きになりやすい伝統的祭礼を運営する組織を、より開放的にしている、こうした意識や行動の裏には、伏見の持つオープンマインドが影響を与えていることが分かった。
京都府伏見区に位置する御香宮神社では、約1000年以上前から受け継がれてきた伝統を持つ神幸祭が毎年営まれている。大阪、京都の都市部近郊にあるという地理的条件を生かし、伏見は古くは交通の要所として、戦後はベッドタウンとして発展してきた。人の流動性が高く、アクターの入れ替わりが多く見られるこの地域では、増加する新規住民と地元住民との関係づくり、コミュニティの再構築が問題視されている。
 本論文では、流動性の高い伏見という地域において神幸祭が途切れず継続されている理由を探る。またこうした地域における祭礼が新旧住民間のコミュニティ形成に与える影響などを明らかにする。調査は伏見、向島地区の新旧住民7名へ半構造化インタビューを行った。
 結果として、この地域では新規住民を神幸祭という目標を持った町内組織に次々と取り込むことで、新旧住民間の壁を取り払い、コミュニティの範囲を広げていることが分かった。また、本来内向きになりやすい伝統的祭礼を運営する組織を、より開放的にしている、こうした意識や行動の裏には、伏見の持つオープンマインドが影響を与えていることが分かった。
講評 本稿は御香宮神宮神幸祭を運営する人々のコミュニティ形成の構造、維持メカニズムを解明する研究である。従来の祭り研究は地域活性化、Uターン、Iターンなど、村落モデルの観点で書かれてきたが、本研究は流動性が高い都市近郊地域における祭りを対象としており、担い手集団における規範、慣習、外部者と内部者の関係性など、村落モデルではない祭りの特徴をとらえている。分析により、(1)高流動性地域特有の外来者に寛容な姿勢があり、住民歴が短い者も祭りの担い手として受け入れられている、(2)氏子の範囲内での地域間序列が存在する(歴史的経緯による規範の残存)、(3)自営業者の担い手の強い貢献(時間的融通が長時間関われるため主要な立場、サラリーマンは短時間のため補助的立場であること)という構造的、制度的要素が発見され、オープンに新住民を受け入れつつ、古くから祭りに関わり、物心ともに強くかかわる人々の愛町心が醸成されているメカニズムを明らかにしている。本研究は高齢者の祭りの担い手にも聞き取り調査を行っており、歴史的記録としても価値のあるものに仕上がっている。
キーワード1 伏見
キーワード2 流動性
キーワード3 都市祭礼
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