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学科 | 社会学科 |
年度 | 2018 |
ゼミ名 | 河口 充勇 |
タイトル | アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の現実的投影 |
内容 | 『新世紀エヴァンゲリオン』が放送当初から現在に至るまで、人気を博し続けている理由は、やはり作品における現実的投影にあると考える。 『新世紀エヴァンゲリオン』の世界観における一つ重要な設定は「A.T.フィールド」である。「A.T.フィールド」は「エヴァ」と使徒が展開できる絶対防御バリアだと描かれているが、実は現実世界で生きる我々人間全員に存在しており、自我を守り、他人との適当な距離を保ってくれる「心理的距離」である。「A.T.フィールド」は私たちが「イマ」「ココ」で生きていることの現実的な写像である。 そして、『新世紀エヴァンゲリオン』は1990年代の日本社会と深く関連している。1990年代の日本において、1989年の「東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件」に続き、バブル崩壊、「阪神・淡路大震災」、「オウム真理教事件」という一連の天災と人災により、日本社会では行き場のない閉塞感が充満していた。『新世紀エヴァンゲリオン』が描いた終末思想は、当時の日本社会における終末論の風潮とちょうど一致した。そして、主人公の碇シンジはまさしく1990年代の多く日本人、特に若者の写照であった。そのような社会背景のなかで、『新世紀エヴァンゲリオン』は1995年以降に一大社会ブームになっていた。 |
講評 | 私が担当したゼミでは4名が卒業論文を提出した。研究テーマは、「SNSにおける『炎上』のメカニズム」、「アイドルオタクの『趣味コミュニティ』」、「道と町(地域社会)の相互作用」、「アニメ作品に表象される社会」といった、どれも社会学領域での先行研究が少ないものばかりであった。4名はそれぞれに“道なき道”を行く不安・苦労を経験しながら、真摯に対象と向き合い、粘り強く研究に取り組んだ。その結果として、“粗削り”であることは否めないものの、それぞれが単なる先行研究の塗り直しに終わらない、オリジナリティの高い論文になったと思う。論文完成にいたるまでの「もがき苦しみ」の経験が、彼・彼女らのこれからのキャリア活動にとって一つの糧になればと願う。 |
キーワード1 | A.T.フィールド |
キーワード2 | 防衛機制 |
キーワード3 | 心理的距離 |
キーワード4 | 他者と自我 |
キーワード5 | 1990年代 |
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