内容 |
近年,10月31日に仮装をし,町中を歩き,騒ぐというハロウィンイベントが若者の間で爆発的に盛り上がっている。商業戦略として日本に導入されてから20年近い歴史を持つハロウィンが,このわずか数年で急激な大衆化を果たした要因はどこにあるのか。そして若者のどのような意思決定要因がハロウィンへの参加に影響を与えるのか。先行研究をもとに,第三の消費文化である現在の消費の傾向としては,精神的価値を重視することがわかった。そこで,消費行為においての快楽的な意識がハロウィンイベントへの参加に影響を与えると仮説を立て,分析を行ったが,結果から,快楽的な意識はハロウィンイベントへの参加に影響を与えるものではなく,そこでは「好き嫌いだけで自分の参加するイベントの選択はしない」人たちが多く参加しているとわかった。実はここに「新たな機能的な意識」の存在が考えられたのである。筆者は,それを「自己承認を満たす役割的な消費」だと捉えた。そして,ハロウィンイベントへの参加における行動は,他者に期待される自分の姿を調整し,「面子を保つため」ための役割的な行動だと考える。現代の個人化が進む社会の中では,自分らしさを失うことから安定的な自己を保てないという。そのために,他者から絶えず承認を与えてもらうしかほかない状況にあり,このような親密圏の変容の中で,若者は自己の承認欲求を満たすためにハロウィンというイベントに参加し,「装った自分」を表現し合っていると考えられる |