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学科 産業関係学科
年度 2018
ゼミ名 冨田 安信
タイトル 地域間労働移動-経済学の視点から捉える-
内容 本論文では、労働者の都道府県間移動について主に所得、失業率から分析した。都道府県間移動者数は減少傾向にある。その要因として、一人当たり県民所得の格差が減少したこと、完全失業率が全国的に減少傾向にあることから移動することで得られる収益が減少していることが考えられる。しかし、失業率の低下など雇用の「量」は改善しても雇用の「質」が十分に確保されているとは言えないため、雇用の「質」を確保する必要がある。移動する割合の多い若年層に着目すると、就職時より進学時に移動しており、流出数の多い地域では、進学時の移動を抑制させる必要があると考えられる。東京都では転入超過の状況が続いている。その要因としては情報通信業、本社数、教育機関が集中していることがある。対策としては、日本で複数の地域経済圏を創出することや地方での人と雇用のマッチング機能を高める必要があると考えられる。少子高齢化が進むと人を移動させることによって地域を発展させるのは困難となるが、地元の特徴に着目しながら政策を行っていく必要があろう。
講評 今年度、特徴的だったことは、「働き方改革」に関連するテーマを選んだ学生が14人のうち6人いたことである。「働き方改革」という見出しを新聞やテレビニュースで目にすることも多く、学生にとっても関心の高いテーマだったようである。2人は働いている人々に自発的に長時間労働する動機について聞き取り調査し、1人は参与観察で、飲食店やコンビニで社員が長時間労働せざるをえない原因について分析した。長時間労働を是正するためには、企業が人事制度を改革し、仕事を見直すことが必要である。「働き方改革」に関する厚生労働省のガイドラインを丁寧に読んだり、働き方改革に取り組んでいる企業の事例を収集したりして、学生たちは論文をまとめた。
男性の家事・育児参加に関連するテーマを2人が選んだ。1人は、男性が積極的に育児参加することで、男女の伝統的な役割分担意識が変化していくという視点で書き、もう1人は、男性の育児参加が進むと女性の仕事と育児の両立が可能になり、子ども数が増えるという視点で書いた。関連するが、女性活躍について書いた学生は、日本と同じく女性管理職が少ない韓国では、アメリカのアファーマティブアクション政策を取り入れ、積極的に女性管理職を増やしていることを紹介した。
教育に関するテーマで論文を書いた学生が2人いた。1人は子どもの学力は親の遺伝子や所得に影響されるだけでなく、家族、地域、学校での人間関係、つながりにも影響されること述べ、もう1人は、高校卒業時の進路選択の1つとして専門学校進学に注目し、専門学校に進学して卒業した人々に、進学した理由を聞き取り調査した。
中小企業の抱える問題について書いた学生は、人手不足、女性活躍、事業継承について文献で明らかになったことを、中小企業の経営者に聞き取り調査することで確かめた。AIの発達が人間から仕事を奪うのかをテーマに書いた学生もいた。AIが発達することは、人間から仕事を奪うというより、深刻な人手不足を解決することにつながるのではないだろうか。
今年度のゼミ優秀論文には「地域間労働移動-経済学の視点からー」を選んだ。日本全体で見れば労働者の地域間移動は減少しているが、東京への一極集中は続いている。その理由を経済学の考えを使って説明しようとした。よく参考文献を読み、適当な統計資料を見つけてきたこと、何よりも、需要曲線と供給曲線のグラフを使った分析したところに経済学らしさを感じた。
キーワード1 地域間移動
キーワード2 所得格差
キーワード3 失業率格差
キーワード4 東京一極集中
キーワード5  
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