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学科 | 産業関係学科 |
年度 | 2018 |
ゼミ名 | 冨田 安信 |
タイトル | 子の学力を形成するもの ―学力格差の要因と影響力― |
内容 | この論文では、子どもの学力を形成していると考えられる遺伝、収入、つながりという3つの要因と学力との関係性や影響力について考察した。学業成績に対する遺伝の影響は50%以上で、強い関係性を持っていることが証明された。しかし、生まれ持った才能を開花させるかどうかは、子どもの環境によって異なってくる。次に、親の収入は子どもの学力に大きな影響を及ぼしていることが分かった。所得が高く、比較的生活に余裕がある家庭では、勉強に励む環境が整っているため、大学進学率が高くなる。また、学校外教育費支出が大きいほど、子の学力は向上するという結果も出ている。最後に、子の学力とつながりとの関係についてである。子どもが持つ両親、地域、学校などとのつながりが、学力形成に影響を与えており、その大きさは収入が及ぼす影響力と同等であった。経済的に恵まれていない子どもや、教育環境の整っていない子どもであっても、人間関係やつながりによって学力は向上する。つまり、子どもを取り巻く人間関係、つながりを豊かにすることで子どもの学力を向上させることができる。具体的には問題を抱える家庭への支援、地域全体の子育て、学校での学びである。 |
講評 | 今年度、特徴的だったことは、「働き方改革」に関連するテーマを選んだ学生が14人のうち6人いたことである。「働き方改革」という見出しを新聞やテレビニュースで目にすることも多く、学生にとっても関心の高いテーマだったようである。2人は働いている人々に自発的に長時間労働する動機について聞き取り調査し、1人は参与観察で、飲食店やコンビニで社員が長時間労働せざるをえない原因について分析した。長時間労働を是正するためには、企業が人事制度を改革し、仕事を見直すことが必要である。「働き方改革」に関する厚生労働省のガイドラインを丁寧に読んだり、働き方改革に取り組んでいる企業の事例を収集したりして、学生たちは論文をまとめた。 男性の家事・育児参加に関連するテーマを2人が選んだ。1人は、男性が積極的に育児参加することで、男女の伝統的な役割分担意識が変化していくという視点で書き、もう1人は、男性の育児参加が進むと女性の仕事と育児の両立が可能になり、子ども数が増えるという視点で書いた。関連するが、女性活躍について書いた学生は、日本と同じく女性管理職が少ない韓国では、アメリカのアファーマティブアクション政策を取り入れ、積極的に女性管理職を増やしていることを紹介した。 教育に関するテーマで論文を書いた学生が2人いた。1人は子どもの学力は親の遺伝子や所得に影響されるだけでなく、家族、地域、学校での人間関係、つながりにも影響されること述べ、もう1人は、高校卒業時の進路選択の1つとして専門学校進学に注目し、専門学校に進学して卒業した人々に、進学した理由を聞き取り調査した。 中小企業の抱える問題について書いた学生は、人手不足、女性活躍、事業継承について文献で明らかになったことを、中小企業の経営者に聞き取り調査することで確かめた。AIの発達が人間から仕事を奪うのかをテーマに書いた学生もいた。AIが発達することは、人間から仕事を奪うというより、深刻な人手不足を解決することにつながるのではないだろうか。 今年度のゼミ優秀論文には「地域間労働移動-経済学の視点からー」を選んだ。日本全体で見れば労働者の地域間移動は減少しているが、東京への一極集中は続いている。その理由を経済学の考えを使って説明しようとした。よく参考文献を読み、適当な統計資料を見つけてきたこと、何よりも、需要曲線と供給曲線のグラフを使った分析したところに経済学らしさを感じた。 |
キーワード1 | 子ども |
キーワード2 | 学力 |
キーワード3 | 遺伝 |
キーワード4 | 収入 |
キーワード5 | つながり |
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