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学科 産業関係学科
年度 2018
ゼミ名 三山 雅子
タイトル 働きやすい職場環境を目指して ―ブラック企業の成り立ちから考える社会人の護身術-
内容 本論文は、もし内定先がブラック企業だったらどうしようという自分を含め多くの学生の不安を解消するために作成したものである。1章では今回のテーマを取り上げるに至った経緯を述べ、2章では厚生労働省による「雇用動向調査」などを参照し、入職率・離職率の高い産業に注目しながらブラック企業にイメージされる長時間労働や低賃金などの苛酷な労働環境をデータから明らかにしていく。また、連合による「ブラック企業に関する調査」において労働者の本音を知り、よりリアルな労働実態に迫る。3章ではブラック企業が生まれる要因について「労働」の歴史から振り返り、違法労働が誕生して現代まで広まってしまった日本の社会構造を解明する。4章では主に今野晴貴らが共同代表を務める「ブラック企業対策プロジェクト」の提言を借りながら、苛酷な労働環境をなくしていくために企業が取り組むべきことや、私たち自身が身に付けるべきことを具体的に示す。5章ではブラック企業のない働きやすい社会を作っていくために「限定正社員」という多様な雇用形態の可能性について述べ、6章で社会に出る決意表明をして締めくくる。
講評 ここ数年と比べて熱心に取り組んだゼミ生が多かったとは思うけれど、今年も卒論は二極化していた。卒論の提出にあたっては様々な約束事がある。たとえば提出日だとか字数、つけるべき付属の文書などの形式的な事柄である。これらの形式的な事柄をそつ無くクリアーしている卒論は、卒論としての水準が相対的に高く、これらの形式をなんとかクリアーしたものは前者に及ばない。卒論はもちろん中身が大切??卒論に限らずあらゆる表現はそうなのだが??なのだが、けっきょく内容は形式に規定されてしまうのだ。それに加え、大学4年間で学んだものすべてが、卒論には結実しているとも感じた。授業でのレポートに真摯に取り組んでいたのかいないのかが、卒論には現れてしまっていた。当然のことなのかもしれない。昨日まで書いていたレポートにおいて、てにをはの整った日本語の文章が書けない人が、卒論になったからといって突然書けるわけがないのだから。きちんとした卒論を書くことは文系大学生としての最低限だと私は考えている。なぜなら文系大学生は、卒業後けっきょく言葉と言葉に基づいて行う行為である思考を武器に仕事をしていくからだ。だから学生時代の4年間を大切にしてほしいと思う。
もう一点、テーマ設定に関わって感じたことがある。数年前から感じてはいたのだが、労働??雇用されて働くことといってよい??が若い人の中でone of them になってきているということである。直接的に仕事と私生活のバランスについて取り上げていない卒論であっても、つまるところ仕事と私生活のバランスについて取り上げている卒論が多かった。これは私が大学生であった頃には考えられないことである。たとえば男子学生が女性労働者の活躍について書くなどということはありえないことであった。しかし、数年前から、女性労働者を取り上げる男子学生がポツポツと現れ始めた。日本社会自体の変化を反映しているのかもしれない。こういう形で今に出会えるのも教員という仕事の面白さかもしれない。
キーワード1 ブラック企業
キーワード2 日本型雇用
キーワード3 労働契約
キーワード4 限定正社員
キーワード5  
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