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学科 産業関係学科
年度 2018
ゼミ名 三山 雅子
タイトル 若者の理想の働き方を阻むもの
内容 近年、日本の若者の仕事観が年々変化している。仕事よりもプライベートを優先したいと考える若者が年々増加しており、そのような職場で働くことを理想としている。さらに日本では否定的なイメージを持たれる転職であるが、現代の日本の若者はこの転職に対して否定的な考え方を持っておらず、若者の転職率は高いものとなっている。その原因は若者の仕事観と関係がある。若者が理想とする働き方と実際に入社して日本社会で働くことで目の当たりにする現実のズレが大きいからである。そのズレを解消する一つの手段として転職という選択がある。しかし、その転職も日本社会では難しいのである。そこで本論文では、現代の日本の若者が理想とする働き方が難しい日本社会の中で一体何が若者の理想を阻んでいるのか考察する。その考察の結果、若者の理想を阻む原因の一つが労働時間の長さにあるということ、そして労働時間から逃れるための転職が日本では難しい理由を明らかにすることで、今の日本社会がいかに若者の理想とは離れたものとなっているのかを示した。
講評 ここ数年と比べて熱心に取り組んだゼミ生が多かったとは思うけれど、今年も卒論は二極化していた。卒論の提出にあたっては様々な約束事がある。たとえば提出日だとか字数、つけるべき付属の文書などの形式的な事柄である。これらの形式的な事柄をそつ無くクリアーしている卒論は、卒論としての水準が相対的に高く、これらの形式をなんとかクリアーしたものは前者に及ばない。卒論はもちろん中身が大切??卒論に限らずあらゆる表現はそうなのだが??なのだが、けっきょく内容は形式に規定されてしまうのだ。それに加え、大学4年間で学んだものすべてが、卒論には結実しているとも感じた。授業でのレポートに真摯に取り組んでいたのかいないのかが、卒論には現れてしまっていた。当然のことなのかもしれない。昨日まで書いていたレポートにおいて、てにをはの整った日本語の文章が書けない人が、卒論になったからといって突然書けるわけがないのだから。きちんとした卒論を書くことは文系大学生としての最低限だと私は考えている。なぜなら文系大学生は、卒業後けっきょく言葉と言葉に基づいて行う行為である思考を武器に仕事をしていくからだ。だから学生時代の4年間を大切にしてほしいと思う。
もう一点、テーマ設定に関わって感じたことがある。数年前から感じてはいたのだが、労働??雇用されて働くことといってよい??が若い人の中でone of them になってきているということである。直接的に仕事と私生活のバランスについて取り上げていない卒論であっても、つまるところ仕事と私生活のバランスについて取り上げている卒論が多かった。これは私が大学生であった頃には考えられないことである。たとえば男子学生が女性労働者の活躍について書くなどということはありえないことであった。しかし、数年前から、女性労働者を取り上げる男子学生がポツポツと現れ始めた。日本社会自体の変化を反映しているのかもしれない。こういう形で今に出会えるのも教員という仕事の面白さかもしれない。
キーワード1 若者
キーワード2 仕事観
キーワード3 プライベート
キーワード4 労働時間
キーワード5 転職
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