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学科 | 産業関係学科 |
年度 | 2018 |
ゼミ名 | 上田 眞士 |
タイトル | 企業の福利厚生…女性が働きやすい職場環境づくりに向けて… |
内容 | 「男性は外で働き、女性は家事を熟す」という従来の考え方はもう古い。本稿では、女性の職業キャリアアップのためにはどのように日本社会や企業組織が変わっていくべきかを、福利厚生という面から考えている。 はじめに、なぜ女性も社会に出て活躍しなければならないのかを、収入や環境の変化と女性自身の生き方の選択肢の増加という面で考察した。男女雇用機会均等法や女性活躍推進法が施行され、政府は女性が活躍できるような社会の実現を目指している。しかし現実は、依然として男女平等とまでは至っていない。そして女性が社会進出をすることによって、非婚化や晩婚化、少子化問題が生じてしまう。 続いて、福利厚生の歴史を明治時代の鐘紡紡績の経営者であった武藤山治の「温情主義的経営法」を考察しながら論じた。当時の武藤山治の福利厚生の取り組みは非常に画期的なものであった。そして今後、日本企業は経営者側も労働者側も成長していけるような職場環境や組織環境を共に作り上げていかなければならない。 |
講評 | 提出された卒論テーマを概括的に整理してみると、「女性活躍とWLB問題」「働き方改革と同一労働同一賃金問題」「長時間残業と過労死問題」「未婚化・晩婚化と少子化社会問題」「北欧の社会保障制度」「外国人労働者受け入れ問題」「日本人の労働意識と労使関係」「IoTとインダストリー4.0」等々となっています。こうした皆さんの卒論テーマに表象されているものは、一方での経済のグローバル化や市場主義の加速、また他方では国内での種々の社会問題、労働問題の発生という、現代日本の雇用社会を舞台に展開しているダイナミズム、現実社会での当事者たちの苦闘ということになるでしょう。個々の論文ごとに、問題の掘り下げや記述の論理性という点では、幾分かの精粗もあったように思います。しかし基本的には、卒論作成という課題に対して、就職活動の中でもゼミ生皆が真面目に取り組んでくれた、そのように考えています。そこでここでは、研究や考察に際して私が大事だと思うポイントを簡単に指摘して、ゼミでの卒論作業を締めくくる講評としたいと思います。 まず一番目の要点は、皆さんの卒論は本質的に「批判的」な研究であってほしい、そうした要望です。言うまでもなく、雇用関係の当事者である労使は、互いに深く依存し合っています。しかし、同時にその相互依存的な関係の中には、利害の相違や相克も抜き難く存在しています。それが現実社会の中では、どのように制度的に「処理」されているのか、そのありようと向き合い、正面から観察し理解しようとする態度が、まずは大事だと言うことです。必ずそこでは何らかの問題意識が生まれてくると思います。そうした現実に対して抱く緊張感を、論理的に整序して記述しようする姿勢が、論文作成にとってはとりわけ重要であるように思われます。少々設例的に解説すれば、ただ単に日本的雇用の非を鳴らすだけではつまらない、なぜ現実はそうたらざるをえないのか、そこにまで問題把握を広め深めて欲しい、あるいは、ただ単に日本的経営を称賛するだけではつまらない、それが自らの体内に抱え込んだ病理にまで洞察の目を向けて欲しい、そういうことになるでしょう。要するに、現実は必ず緊張や葛藤を孕んでいます。その緊張や葛藤にこそ、考察の焦点があるのだということです。将来への展望(≠「政策提言」)も、実はそうした緊張や葛藤に目を凝らしてこそ、はじめて見えて来るはずのものだと思います。有名なマルクスの言葉を借りれば、肯定的な理解のうちに否定的な理解を宿すということになるのかもしれません。それが問題把握や理解の深さ、広さにも繋がるのだと思います。 またいま一つには、資料を調べ、文献を読み進めて、卒業論文を書く。その際に最終的な「答え」として、無理矢理な政策提言などは行わないということ。この点が、実は大切だと思います。判らないところや、理解できないことがあるのが、むしろ当たり前だと開き直って下さい。勉強を進めていくうちに、曖昧模糊として漠然とわからないという状態から、具体的に解かれるべき問題が見えて来る。それが、理解が進むということなのだと思います。卒論作成を終えてみて、自分の取り上げたテーマについて、具体的な問題が幾つも頭に思い浮かぶようなら、それで卒業研究の目的は果たされた。そのように考えて下さい。 まずは「隗より始めよ」。いずれも自分に返ってきそうなコメントですが、論文執筆や考察の際の心がけだ、そのように理解して欲しいと思います。 <以上> |
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