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学科 | 産業関係学科 |
年度 | 2018 |
ゼミ名 | 樋口 純平 |
タイトル | 雇用分野におけるポジティブ・アクションに関する比較分析―女性活躍推進の取り組みに対する評価― |
内容 | 本論文では、長年、日本政府が「男女共同参画基本計画」を通して進めてきた“固定的性別役割分担意識をなくした男女平等の社会”の実現に向けた、雇用分野における具体的な取り組み、そしてその進捗状況を、諸外国のものと比較することで調査・評価を実施した。 調査の結果、日本の雇用環境の背景に存在している女性活躍推進における阻害要因をきちんと見極め、その施策の意義・目的を明確に認識しながら、各企業が自社の女性活躍を推進するに当たって、適切な取り組みを選択し、実施していかなければ、その効果の範囲も限定的になってしまうという課題意識がみられた。 現在の日本企業の多くで積極的に実施されている女性活躍推進のための手法(ポジティブ・アクションの取り組み)では、各施策の直接の目的を見失っており、女性従業員の状況認識において効果を発揮していない状況、加えて女性を優遇することに対する男性従業員の不公平感とスティグマの弊害(劣勢の烙印)を恐れた警戒感がぬぐい切れていない状況が伺える。 |
講評 | 卒業論文の作成にあたっては、自分が関心を持ったテーマについて、いろいろと本を読んでみてよかった、多少は苦しいながらも書き進める中に楽しさや充実感があった、と感じてほしいと思う。自分自身に向けて書く、という気持ちが大切と思う。 とはいえ、単なる自己満足に終わってもよくない。自分の設定したテーマについて、先行研究は何を語っているか、現状はどうなっているのか、を知る必要がある。すると、通常は、よく調べるほど自分に語るべきことがあまり残されていないことに気づく。そもそも、卒業論文でオリジナリティのある事実発見や考察を行うことは、たいへんむずかしい。それでも、先行研究を追いかけながら、自分なりに納得のゆくストーリーを展開することはできる。また、少数でもよく選んだ文献と格闘することで、意義のある考察をすることもできる。 本年度の樋口ゼミ生の卒業論文は、どうであったか。テーマ設定としては昨年度に引き続きワークライフバランスを始めとした働き方改革について論じたものが中心となったが、自身の就職先企業や業種と関連づけて研究を行ったものも少なくなかった。商社に就職する者は商社マンのキャリア形成を題材としたり、種苗会社に就職する者は農業の海外進出を題材としたり、いずれも自身の将来に直接関係するテーマを取り上げたものである。こうしたタイプの研究には、メリットが少なからず存在するように思われる。社内のつてを頼りにインタビュー調査を実施したり社内資料にあたったりすることができるし、何より自身のより直接的な問題関心に支えられた研究のモチベーションを得ることができる。一方、働き方改革について論じた研究では、長時間労働の是正に関する比較的オーソドックスなものから地方公自治体のワークライフバランスのようなユニークなものまで、その切り口に自己の問題関心や個性が表れていたと思う。また、先行研究の豊富なテーマでは文献の渉猟が求められ、先行研究の乏しいテーマでは事例分析等にもとづいた自身の概念構成力が問われた。 以上のような本年度の卒業論文は、総じて構想から準備、執筆に至るプロセスが順調に進められたという印象がある。一方、総じて先行研究の検討に不十分さが見られることも否定しがたい。この点は、来年度に向けた教員自身の課題でもある。 |
キーワード1 | 女性活躍推進 |
キーワード2 | ポジティブ・アクション |
キーワード3 | 女性就業者・管理職比率 |
キーワード4 | 両立支援と均等推進 |
キーワード5 | |
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