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学科 産業関係学科
年度 2018
ゼミ名 樋口 純平
タイトル 労働力不足の対策としての高齢者雇用
内容 本論文では、少子高齢化社会における労働力不足と高年齢者雇用の実態について調査している。日本の総人口は減少の一途を辿り、少子高齢化は今後さらに深刻化していく。それに伴い、高年齢者の活躍をより一層期待することになる。
分析の結果、改正高年齢者雇用安定法によって、高年齢者の雇用が着実に進められてはいるものの、義務化されている「継続雇用制度の導入」、「定年の引き上げ」、「定年制度の廃止」のうち、「継続雇用制度の導入」を選択している企業の割合が高く、「定年の引き上げ」、「定年制度の廃止」を選択している企業の割合が著しく低いことが分かった。
そこで、「定年の引き上げ」を実施している企業を調査したところ、「定年の引き上げ」には、「継続雇用制度の導入」よりも、コスト面でも制度の整備の面でも、企業側に大きな負担がかかることがわかった。
高年齢者の雇用はまだ始まったばかりではあるが、今後の日本のことを考えると、必ず直面する問題である。長期的に将来を見据えたときに、国や各企業が今後どのように高年齢者の雇用について取り組んでいくのかが重要となってくる。
講評 卒業論文の作成にあたっては、自分が関心を持ったテーマについて、いろいろと本を読んでみてよかった、多少は苦しいながらも書き進める中に楽しさや充実感があった、と感じてほしいと思う。自分自身に向けて書く、という気持ちが大切と思う。

とはいえ、単なる自己満足に終わってもよくない。自分の設定したテーマについて、先行研究は何を語っているか、現状はどうなっているのか、を知る必要がある。すると、通常は、よく調べるほど自分に語るべきことがあまり残されていないことに気づく。そもそも、卒業論文でオリジナリティのある事実発見や考察を行うことは、たいへんむずかしい。それでも、先行研究を追いかけながら、自分なりに納得のゆくストーリーを展開することはできる。また、少数でもよく選んだ文献と格闘することで、意義のある考察をすることもできる。

 本年度の樋口ゼミ生の卒業論文は、どうであったか。テーマ設定としては昨年度に引き続きワークライフバランスを始めとした働き方改革について論じたものが中心となったが、自身の就職先企業や業種と関連づけて研究を行ったものも少なくなかった。商社に就職する者は商社マンのキャリア形成を題材としたり、種苗会社に就職する者は農業の海外進出を題材としたり、いずれも自身の将来に直接関係するテーマを取り上げたものである。こうしたタイプの研究には、メリットが少なからず存在するように思われる。社内のつてを頼りにインタビュー調査を実施したり社内資料にあたったりすることができるし、何より自身のより直接的な問題関心に支えられた研究のモチベーションを得ることができる。一方、働き方改革について論じた研究では、長時間労働の是正に関する比較的オーソドックスなものから地方公自治体のワークライフバランスのようなユニークなものまで、その切り口に自己の問題関心や個性が表れていたと思う。また、先行研究の豊富なテーマでは文献の渉猟が求められ、先行研究の乏しいテーマでは事例分析等にもとづいた自身の概念構成力が問われた。

 以上のような本年度の卒業論文は、総じて構想から準備、執筆に至るプロセスが順調に進められたという印象がある。一方、総じて先行研究の検討に不十分さが見られることも否定しがたい。この点は、来年度に向けた教員自身の課題でもある。


キーワード1 少子高齢化
キーワード2 労働力不足
キーワード3 高年齢者雇用
キーワード4 定年の引き上げ
キーワード5  
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