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学科 | メディア学科 |
年度 | 2018 |
ゼミ名 | 佐伯 順子 |
タイトル | 「2.5次元舞台・ミュージカル」とファン |
内容 | 昨今メディアで取り上げられることも増えた「2.5次元舞台・ミュージカル」はアニメやマンガ、ゲームなどの2次元作品を3次元化し舞台化・ミュージカル化した作品の総称である。2003年に始まり昨年15周年を迎えたミュージカル『テニスの王子様』や、2年間で178公演が上演された舞台『刀剣乱舞』など様々な話題作が上演されてきた。ぴあ総研によると、2017年度の市場規模は170億円を突破し、2012年から毎年市場規模は大きくなっている。しかし、演劇業界全体で考えると10分の1程度にとどまっている。その要因は、2.5次元舞台・ミュージカルが一部を除き総じて低クオリティの作品であり、既存のファン以外が観劇しようと思う作品を提供できていないからではないか。この状況が続けば原作とする人気マンガ、アニメ、ゲームの枯渇以前に、2.5次元舞台・ミュージカルが衰退する可能性があると考えた。日本発信のポップカルチャーとして定着させるためには、相応しい実力をつけることがまず最初の課題ではないだろうか。 |
講評 | 2.5次元ミュージカルの人気の理由を、メディア学の観点から考察した。新聞記事にみられる2.5次元ミュージカル関連の報道を調査し、2014年の日本2.5次元ミュージカル協会の設立までは少なくとも全国紙における新聞報道が存在せず、「ニッチ」な市場であったものが、2012年以降、市場規模が右肩上がりに拡大し、従来の漫画、アニメの舞台化とは異なる、原作のキャラクター優先主義、それでいて、単なる原作のコピーではなく、演者の成長を3次元で観客が共に見守るプロセスの存在が、2.5次元ミュージカルというジャンル特有のオーディエンスの共感を招いていることを明らかにした。ブームの契機として位置づけられる『テニスの王子様』『刀剣乱舞』をケース・スタディとして特に詳しく分析し、刀剣展覧会とのコラボレーションの実態や若い女性ファンの実情をフィールドワークも通じて観察し、従来のミュージカルとは異なる魅力の源泉を明らかにしつつ、低質な作品の存在もあることを批判的に指摘し、今後は、舞台芸術としての完成度もめざしながら発展してゆくことが課題であると結論づけた。最新の2.5次元ミュージカルの社会的状況を考察し、メディア学の王道的新聞記事調査も用いたポピュラー・カルチャー研究として評価できる。 |
キーワード1 | 2.5次元舞台 |
キーワード2 | 2.5次元ミュージカル |
キーワード3 | テニミュ |
キーワード4 | 刀ステ |
キーワード5 | オタク文化 |
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