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学科 メディア学科
年度 2018
ゼミ名 竹内 幸絵
タイトル 日本の特撮ヒーロー番組から見る社会 ―『仮面ライダービルド』の悪役エボルトから見る、今人々が求めることー
内容 『仮面ライダービルド』の悪役「エボルト」に感じる違和感を起点に、悪役が社会事情を反映しているという筆者の仮説を検討し、エボルトが今出現した意味について考察した。
インタビューの結果から、悪役は「社会事情反映型」、「人間の醜さの投影型」、「欲望型」ということが分かり、エボルトが「欲望型」に属することがわかった。「平成一期」と「平成二期」の「仮面ライダーシリーズ」からそれぞれ3人の欲望型の悪役を抽出した。彼らを「悪事の内容」、「行動原理・目的」、「悪役としての登場話」の三つの要素で分析すると、普段意識するほどではないがなんとなく気になるという、人々が無意識下で抱える不安を投影しているということがいえた。またエボルトは、ほかの欲望型の悪役と違って初めから主人公と密接な関係にあった。そこから、エボルトには他者に対する潜在的な恐怖が投影されていると考えた。要するに、今人々が無意識のうちに意識しているのは、「他者に対する、裏切られるかもしれないという不安」という結論に至った。
講評 筆者は生粋の仮面ライダーファンで自身もヒーローショーサークルで活躍した経歴を持つ。彼女が選んだ卒論のテーマはヒーローではなく悪役である。彼女はこれまで仮面ライダーの悪役に対し無意識に、そのシリーズが放映されている時期の社会の問題意識を反映していると感じてきた。論文冒頭で説明しているとおり、特に東日本大震災後の仮面ライダーそしてシン・ゴジラにそれを強く感じていたという。
ところが2017年9月から本論文執筆中の2018年8月まで放映されたシリーズの悪役エボルトには、彼女の眼にはそうした社会事情の反映全く無いと映った。それはなぜなのか。地球を征服したいという欲望のみを強く出すエボルトっという存在への問いが研究目的となった。
平成一期(オウム真理教など日本国内の凶悪殺人が目立つ時代)と、平成二期(海外世界全体の不安は強まっているが、国内での殺人事件は目立たないと思われる時期)と区切った悪役の類型化は論文の見せ場の一つだ。そしてヒーロー好きの知人へのインタビューなどを実施したうえで、彼女のエボルトへの考察は、最初は主役と仲が良くその後裏切るストーリー、その恐怖に着目するに至った。エボルトの虚無性は、突然他者が離反する可能性を秘めたSNS時代の潜在的な恐怖を描いているというのだ。その意味ではエボルトも社会事情反映型なのかもれない。このあたりの整理が時間切れであった点は心残りだが、春から仮面ライダーにも近い職に就く彼女にとって意義深い考察、論文となったと思う。
キーワード1 エボルト
キーワード2 無意識下
キーワード3 欲望型
キーワード4 社会事情
キーワード5  
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